FC2ブログ

Entries

◇神々の食

先週はとても忙しかった。たった二日出張に出ただけでいろいろと仕事は山積み。
春から改革した業務の結果が思わしくないものだから、上層部は躍起になっていろんな追加対策を持ってくるのだが、小手先なのがみえみえなのだ。そういうことも必要だろうけど、目先のことに一喜一憂せずにもうちょっと腰をすえてどっしりと構えてもらいたいものだ。
目先のことに振り回されるとろくなことはない。「衰退する地域の経済をどう維持するんだ!」みたいな声が大きくなってしまった結果、危険な施設を誘致して、結局もともとあった産業を全部潰してしまうようなことになりかねないんじゃないか。

雨の休日、こんな本を読みながら沖縄の空気を思い出していた。

神々の食 (文春文庫)
神々の食 / 池澤 夏樹、垂見 健吾


沖縄で食べたものはみんなとてもおいしかった。
若い頃訪れた時は、沖縄の食べ物をそんなにおいしいと思わなかったから、やはり歳を重ねるごとに味覚は変わるのだろうか。
麩チャンプルーやソーミンチャンプルー、てびち、ミミガー、もずくの天ぷら、島ラッキョウ。アバサー(ハリセンボン)の炒め物。グルクンの唐揚げ。ミーバイというクエの仲間の魚のバター焼き。ヤギ肉のソーセージ。豆腐餻やイラブー汁も食べた。
豆腐餻というのは、豆腐を泡盛に漬け込んで紅麹をつけて発酵させたもので、塩辛いブルーチーズのような味と食感がする。イラブー汁は、海ヘビの干物のスープで滋養強壮にとても良いのだそうだ。もっとも豆腐餻やイラブー汁を沖縄の人がしょっちゅう食べているわけではない。京都に住んでいるからって鱧や湯葉をしょっちゅう食べるわけじゃないのと同じことだ。
まぁともかく、紅芋のお菓子や黒糖や塩なども含め沖縄の食べ物は飽きることがない。
観光として訪れる範囲では、沖縄はとても豊かで豊饒なところだ。
でも、沖縄が実り豊かな土地かというと決してそうでもない。むしろ自然からの実りは種類も時期もとても限られていて、それしかないからこそ工夫して無駄なく頂くことが発達したのだと思う。

「神々の食」というこの本、一見沖縄のバラエティに富んだ食のカタログのようだけど、実はその食材の向こうにある沖縄の人々の暮らしを描き出そうとしている。
そして、沖縄に限らず本当はどの地域にもそのような土地ならではの知恵と工夫を凝らした暮らしがあったのではないかと暗に問いかけているような気がした。
どこの土地でもかつては生産地と消費地は限りなく近くにあり、人はその土地でその季節にとれるものを工夫して食べていた。便利さと快適さを追求するうちに、そのような食べ物はどんどん姿を消してしまい、僕たちは外から来たご馳走ばかりをありがたがって食べている。もちろんそれは豊かであることの証ではある。でも、本当にそれでいいのだろうか、という思いが少しある。目先のことに惑わされているうちに、僕たちの国は、輸入に頼らなければあっという間に食べることすらままならない国になってしまったのではないか。
沖縄の食べ物は、その土地でとれたものをその土地の人がその土地の風土にあわせて食べていることが本当の魅力なのだろう。沖縄にだけは目先のことに振り回されずに、その魅力を保ってもらいたいものだ。そんな願いは、都会で住んでいる人間の一方的なわがままの押し付けに過ぎないことはよくわかっているのだけれど。


スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/218-c6f226d4

トラックバック

コメント

[C496] Re:

つき子さん、こんばんは。
そうなんです。沖縄の料理は沖縄で食べるからおいしいんです。その土地でとれたものをその土地で食べる、きっとこれが一番のご馳走なんだと思います。

[C495]

沖縄のお料理、とっても美味しそうですね。でも、やっぱりあの気候の沖縄で食べるから美味しいんでしょうね。こっちで食べてもちょっと違う、そんな気がします。お仕事、あんまり無理されませんように。
  • 2011-05-29 23:14
  • つき子
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Profile

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

Calendar

09 | 2020/10 | 11
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

Gallery

Monthly Archives