ハイロウズに「十四才」 という、とてもかっこいい曲がある。 ザ・フーみたいに、マーシーがギターをかき鳴らし、ドラムが暴れまくる曲。 ラストでヒロトがこんなふうに叫ぶんだ。 あの日の僕のレコードプレーヤーは 少しだけ威張ってこう言ったんだ いつでもどんな時でもスイッチを入れろよ そんときゃ必ずお前 十四才にしてやるぜ FLASH~BEST/THE HIGH-LOWS 80年代日本のロックベスト100なんてリストを選ぶにあたって、たくさんの昔よく聴いたレコードやカセットテープを聴いていたら、すっかり気分が14才になってしまった。80年代のベストアルバムを選ぶということは、僕にとってはそのまんま思春期の10年をたどることだった。
そう、こんなの聴いてドキドキしてたんだ、負けてたまるかって歯を食いしばっていたんだ、ガンバレって勇気をもらっていたんだ、どーにでもなれなんとでもなるさってつっぱってたんだ。
でも、それらが呼び覚ましてくれた感情は、決してノスタルジーなんかじゃない。10代なんて恥ずかしいことだらけで思い出して懐かしめるような出来事なんてほとんどない。あの頃に戻りたいなんて絶対思わない。自分の存在なんてなんてちっぽけでしょうもないんだと思っていたあの頃、自分にないものを持っているからって他の誰かを羨ましく思ったって仕方がない、他の誰かに気を使いすぎて自分を見失ってしまったら意味がない、自分は自分なりに自分がいいと思えるやり方でやってくしかないんぜ、ってロックンロールが教えてくれたのだ。
それはとてもワクワクすることだった。
ハイロウズが活動休止してから出たベスト盤。
ある時期ヒロトやマーシーのやっていることがとても子どもじみているような気がして、新しいレコードが出ても聴かなかった時期があった。大人なんだから、もうロックごっこにはつきあってらんねぇや、って感じだった時期があった。
でも、これ聴いてまた深みにはまってしまったんだ。
とくにこの、「ハスキー」と「青春」と「十四才」が並ぶあたりはもう最高。もう最高、なんて陳腐な誉め言葉しか出てこないくらい(笑)、かっこいいのだ。あっという間に14才に引き戻されてしまう。
いや、違う、引き戻されるんじゃない。
大人になったつもりでも、いろんな経験を経て、ちょっとだけ引き出しが増えただけで、14才の自分が本質的に変わったわけでも何でもない。むしろ大人になればなるほど、どうやったって変わりようのない自分の本質がリアルに浮かび上がってくる。
ギターを手にとってみた。
DとGを繰り返すシンプルな構成の「十四才」。
♪リアル、よりリアリティ~リア~ル!の最後のところでDのコードを思いっきりかき鳴らす。
14才のときみたいにぞくぞくする。
14才の僕は、いつでも僕と一緒にいて、今もワクワクしている。
流れ星か、路傍の石か
そんなことはどっちでもかまわない。
人生のストーリーは、一生じゃたりないよな。
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ハハハ、わかりますわかります。
僕も<少年の心を持ったオヤジ。強いて言うなら少し不良の。 >というよりは<万年中学生>に近いかも。もう、それでいっちゃえ!と割り切ってしまったような感じすらあります。少なくとも、ひと世代上によくいた「昔は俺もロックなんてよく聴いていたもんさ」とかなんとか言いながらぼやいてばかりのおっさんにはならなかったようでよかったなぁ、と(笑)。