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Dead Or Alive VS Pet Shop Boys

golden(以下g):「さて、その気が狂いそうにさせられたユーロビートといえば、走りはこのバンドだったかと。」
blue(以下b):「デッド・オア・アライヴ!目にするのも嫌やったな。」
g:「とりあえず気が狂ったようにヒットしました。」
b:「あっちもこっちもズッチャカズッチャカズッチャカズッチャカと。」
g:「好んで聴いたわけではないけれど、80年代を席巻したムーヴメントとしては無視できないかと。」

Dead Or Alive / Youthquake(1985)
 
b:「アルバムとしてちゃんと聴いたことはなかったけど。」
g:「うん、当時はもう、こういう音楽に対してはヘイトに近い感情を抱いていました。」
b:「ほんま勘弁してほしかったわ。」
g:「ところがね、今聴くとそれほど悪くないんだよ。」

b:「いかにも80年代なギラギラした音やけどな。」
g:「ピート・バーンズのド派手なメイクと衣装、アイパッチ、長い髪を振り乱してクネクネ踊る姿、、、とりあえずインパクトありました。」
b:「見た目のゲイっぽさの割に、ヴォーカルはすごく野生的な太い声で。」
g:「当時はわからなかったんだけど、実はこのバンドの演ってたことって、もろ正統的なポストパンク〜ニューウェイヴの流れだったんだよね。」
b:「デヴィッド・ボウイ〜ジャパンっぽい耽美的な容姿端麗さに、ニュー・オーダーやデペッシュ・モードが演っていたようなエレクトリックなディスコ・ビートな。そう言われるとそうやねんな。」
g:「そして何より、露悪的なまでの派手さと、破壊的なまでのエネルギー。これって実はセックス・ピストルズが演ってたことと同じだったんだなぁ、って。」
b:「まぁ確かに、ピストルズ並みに暴力的ではあった。」
g:「嫌いで耳を塞ごうとしても有無を言わさず強引に脳内に入り込んでくるだけのポップさとエネルギーを兼ね備えていたという点では、やっぱりすごかったな、と。」
b:「その後を追うように、何もかもこういうユーロビートアレンジになっていったのには辟易したけどな。」
g:「猫も杓子もユーロビート。」
b:「バブル期入口の日本を象徴するような浮かれ方やったな。」
g:「貧乏学生にはバブルなんて全然縁遠かったけどね。」
b:「こういうのが大好きやったのが、前にも喋った、ニューオーダー好きのレンタルレコード屋の同僚Eで。まったく肌に合わん奴やったな。」
g:「おしゃれで潔癖症で、関西生まれなのに変な標準語のオカマっぽい言葉でしゃべるっていう。」
b:「ゲイではなかったけど、その気配はあった。」
g:「ナイーヴをアピールするわりには図々しくて。」
b:「現代ならこういう存在も普通っぽいっていうか多様性に寛容になるべきだと思うけど、あの頃ああいうタイプって周りにおらんかったから、まぁ対応には困ったな。」
g:「そのEがデッド・オア・アライヴと並んでしょっちゅうかけてたのがペット・ショップ・ボーイズ。」
b:「こいつらも天敵やったわ。」
g:「で、これも今聴くとそんなに悪くないんだよ。」
 
Pet Shop Boys / Please(1986)
 
g:「この2人もゲイだったんだっけ?」
b:「うーん、そもそも興味ないねんけど。性的な嗜好をそうやってオープンにすることにどうも違和感があるねんけどな。誰がどんな性的嗜好を持ってようが、俺には関係あらへんし。」
g:「ま、確かに。」
b:「ゲイだレズだっていうのは、ロリータ好きだとか熟女好きだとかポッチャリ好きだとか、そういうことを表明することとどれくらい違いがあるんやろうか。」
g:「あんまり表明してほしくないね。表明したくないし、知りたくもない。」
b:「男女の婚姻という制度から外れているせいで同性愛者は社会的に疎外されている、憲法で保証されている基本的人権が損なわれている、だから権利として認めてほしいという主張はその通りなんやけどな。」
g:「なんていうかね、生々しさがどうもね。」
b:「想像したくない。」
g:「まぁ、そういうことより音楽の話を。」

b:「この“West End Girls”にしろ“Suburbia”にしろ、能天気なディスコ・ビートのように聞こえてたけど、けっこう翳りがあったんやな。」
g:「強いビートとは裏腹のマイナーなメロディーに繊細な感じがこぼれ出ているっていうか。」
b:「歌詞もわりとセンシティヴやったらしいな。」
g:「大ヒットした“West End Girls”の出だしはこんな感じ。“時々死にたくなる事がある/片手にピストルを持ち、銃口をこめかみに当てる/情緒不安定のあまり、気が変になったみたいだ”。
b:「なかなかヘヴィーやな。」
g:「ロンドンのイーストエンドっていうのは労働者の多い貧しいエリアでウエストエンドは歓楽街。そういう社会格差みたいなものを歌った歌らしい。」
b:「そーゆーことなんかまったく知らんとEみたいな奴らがこれかけて能天気に踊ってたけどな。」
g:「ま、そういうことも狙いだったような気がするけどね。シニカルな歌をヘヴィーに演るのではなく、ポップに演ることで歌の飛行距離を伸ばす手法っていうか。」
b:「なるほどな。ポップで甘い装いを仕込んだ毒薬。」
g:「素直に聴けば悪くないと思うけどな。」
b:「一生聴かんでも困らんけどな。」
g:「まぁそう言わずに。表現方法としてはかなり興味深いものがあったと思うよ。」
b:「ま、デッド・オア・アライヴもペット・ショップ・ボーイズも、時代の谷間に咲いた徒花っていうかな。」
g:「徒花っていうと、ピストルズの“God Save The Queen”の一節、“We're The Flowers In The Dustbin”っていうのを思い出すなぁ。俺たちはゴミ箱に咲いた花だ、って。」
b:「エヴァーグリーンとは呼べないし万人に愛され続ける存在ではないけど、でもそういうもなかなか80年代ポストパンクっぽくてええやん、とは思うわ。」
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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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