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Marshall Crenshaw VS John Hiatt

golden(以下g):「大学2回生になってからレンタル・レコード店でバイトするようになって僕の音楽生活は一気に広がっていったんだけど、それまでは新しい音楽に出会うきっかけといえばラジオだったよね。」
blue(以下b):「ラジオ、よー聴いてたな。今はもう野球中継以外聴くことないけどな。」
g:「たまに山下達郎の“サンデーソングブック”を聴くくらいか。」
b:「中学生の頃はABCの“ヤングリクエスト”やったけど、高校生になってからはNHKの“サウンドストリート”を聴くようになった。」
g:「当時は佐野元春、坂本龍一、甲斐よしひろ、山下達郎、渋谷陽一、っていうラインナップだったかな、確か。」
b:「渋谷陽一の曜日はそんなに熱心には聴いてへんかってんな。坂本龍一の曜日もほとんど記憶ないわ。」
g:「特に熱心に聴いてたのは月曜日の佐野元春。」
b:「最新のカッコええ曲、しかもちょっとマイナーなのをよーかけてくれてたからな。」
g:「マーシャル・クレンショウも佐野元春のサウンドストリートで出会ったアーティストでした。」
b:「そうやったな。レンタル屋になかって、レコード探し回ったわ。」
Marshall Crenshaw / Downtown(1985)

g:「クールでシャープで都会的なロックンロール。」
b:「バディ・ホリー譲りの朗らかさと、エルヴィス・コステロみたいなちょっと鼻にかかったちょっと皮肉っぽいヴォーカル。」
g:「都市に暮らすモラトリアムな少年のイノセンスを感じさせるところなんか、国籍違いの初期佐野元春って感じだったよね。」
b:「ロックっていうてもいろんなんがあったからな、髪の長い兄ちゃんたちのハードロック系でも、やたらとおしゃれでスノッブなニューウェイヴ系でもないのんが聴きたかってんけど、そーゆーのんってあんまり音楽雑誌とかでは取り上げられてへんかってん。」
g:「ロックンロールっていうとヤンキーっぽいイメージもあったしね。革ジャンとバイクがセットみたいな。」
b:「そやねん。もちろん反逆的反抗的なロックもカッコええし惹かれてんけど、不良少年ではなかった自分としてはその一方で、ああいう見た目から反抗的反逆的っていうんではない普通の人が演る普通のロックが聴きたいっていう欲求があったんやと思う。」
g:「佐野元春のサウンドストリートでは、そういうアーティストをたくさん紹介してくれてたよね。ツッパリではない、精神の不良っていうか。」
b:「そう、精神の不良。見た目やファッションやなくて。佐野元春自身もそうだったけど、髪を伸ばしたり、革ジャン着たりバイク乗り回したり、みたいなことやなくてもロックンロールできるんやっていうのがな。」
g:「マーシャル・クレンショウもね、ポップなんだけど、すごく都市的というか、ストリートっぽい息づかいを感じたんだよね。」
b:「ポップさの中にちょっと翳りがあるっていうか。」
g:「クールな振りをして格好つけながら、どこか胸の内にシャープなナイフを大切に持っているような。」
b:「そういう感じな、表面的にはクールなんやけど、ちょっとしたシャウトとかに熱いもんがあって、スタイルやなくてスピリットっていうか、本当に大切なものは譲らへん、みたいなとこが共感ポイントやった。」

b:「ジョン・ハイアットもサウンドストリート経由やったような。」
g:「確か、コステロとデュエットした“Living A Little,Laughing A Little”だったかな。」
b:「実はスピナーズのカヴァーやったっていうのんを知ったのはだいぶ後やってんけどな。」

John Hiatt / Warming Up To The Ice Age(1985)
g:「この曲が入ってたんが、85年リリースの『Warming Up To The Ice Age』っていうアルバムで。」
b:「ジャケットだけにみたらえらいイモっぽい感じなんやけど、これがめっちゃ良くてな。」
g:「ルーツっぽい埃っぽさやアメリカっぽいワイルドさと、そういう中にちょっとナイーヴな内面が見え隠れするみたいなところがね。」
b:「そやねん。馬面で出っ歯でいかにもガサツなアメリカの田舎のおっさんみたいな冴えへん風体やのに、めっちゃ渋くてカッコええっていう。」
g:「イモとかガサツとか、誉めてるように聞こえないんだけど。」
b:「なんでやねん、めっちゃ誉めてるやん。こういう普通のおっさんが、プレイしたらめっちゃカッコええ、っちゅーのがええねん。“I'm A Real Man”とかもうゾクゾクするくらいカッコええやん。」

g:「太いギターとイガラっぽいシャウト、バックで鳴ってるロックンロールなピアノもいいね。」
b:「骨太なロックからソウルっぽいサウンドまで、奥行きの深さを感じたわ。」
g:「ハイアットはこのあと87年に『Bring The Family』という名作で大ブレイク、その後このアルバムを一緒にレコーディングしたニック・ロウ、ライ・クーダー、ジム・ケルトナーとリトル・ヴィレッジというバンドを結成。」
b:「そのあたりも渋かったなぁ。」
g:「マーシャル・クレンショウの方もブレイクは87年、映画『ラ・バンバ』にバディ・ホリー役で出演して知られるようになった。」
b:「あの役はずっぱまりやったなぁ。メガネをかけたクールでポップなロックンローラーって、マーシャル・クレンショウそのまんまやもんな。」
g:「ヘヴィメタルやエレポップがチャートを賑わせていた80年代にも、実はこういうルーツを追求した渋いアーティストがたくさんいたっていう。」
b:「このあたりから聴くものもどんどんマニアックになっていく。」
g:「他の奴らが知らないものを聴いているっていうプチ優越感?」
b:「それもないことはないけど、ほんまに好きなんはこーゆールーツっぽいやつやなって発見していったっていうことやと思うで。」
g:「まぁ、そうかな。」
b:「チャートを賑わせている最新流行のヒットソングとは違うところでいっぱいええアーティストがおるんや、っていう発見はやっぱりラジオの影響は大きかったな。」
g:「ラジオの、っていうか、信用できるDJを通じてってことだよね。」
b:「そうやねん。信用できるDJ、共感できるDJっていうのがポイントやろな。」
g:「今はDJの代わりがSNSだったりするのかもね。」
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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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