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♪暑中お見舞い申し上げます -暑さには熱さで対抗するのだ その2-

朝からセミが鳴いていた。よく晴れた夏空。梅雨明けだ。
いよいよ本格的に暑くなる。
関西の夏は湿気が高くて蒸し暑いけれど、中でも祇園祭の頃(7月16日宵山)から天神祭り(7月25日)の頃までの10日ほどが一番うだるように暑い。

テレビで、祇園祭の山鉾巡行のニュースを見た。
きらびやかな鉾が、街中を練り歩く。
なんだか霊柩車みたいだな、と思う。

そもそも祇園祭の始まりは今からおよそ1100年前の平安時代。都で流行した疫病を治めるために八坂神社で66本の鉾をつくり病魔の退散を祈願したのが始まりなんだそうだ。
米の貯蓄が底をつき、悪い疫病が流行する、夏は忌まわしい季節。
小さな子どもや老人など、体力のないものから順番に倒れてゆく。愛する人を突然、疫病で奪われる。
冷蔵庫も冷凍庫もない時代、そして医者もいなければ薬もない時代、人々ができることは、無事夏を越せるよう、神様に祈ることしかなかったのだろう。
同じお祭として括られているけれど、先祖を敬うお盆や、収穫の実りを祝う秋祭り、冬至を越えて日が長くなり新しい年の訪れを祝うお正月などとは少し意味合いが違う、死者の魂を鎮める祈りのためのお祭。
とてもにぎやかに打ち鳴らされる鐘太鼓、きらびやかな赤や朱や金で飾られた装飾品。
そんな、神様を喜ばせるための派手な体裁の内側に込められた哀しくて切ない生きることへの願い。
ずっと昔から連綿と積み重ねられてきた人の営みの哀しさに、ただ呆然としてしまうのだ。


ニュー・オーリンズ伝統のお葬式では、セカンド・ラインというパレードがある。死者を悼むファースト・ラインとは対称的に賑やかな曲を演奏しながら、街を練り歩くのだそうだ。遺族、関係者だけではなく、音楽に魅せられた通行人もパレードに加わる。彼らは、音楽に合わせて踊り、ハンカチを振り、色とりどりの傘を掲げてパレードを盛り上げる。
祇園祭のきらびやかな鉾やコンコンチキチンコンチキチンの鐘の音には、少し相通じるものがあるような気がする。


というわけで、「暑さには熱さで対抗するのだ その2」はブラック・ミュージック編。

Funkify Your Life: Anthology ベスト・オブ・パーラメント Bold Soul Sister - The Best of the Blue Thumb Recordings

Moanin ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト

Funkify Your Life: Anthology/Meters
The Best of Parliament/Parliament
Bold Soul Sister - The Best of the Blue Thumb Recordings/Ike & Tina Turner
Moanin/Art Blakey
Live At Fillmore West/King Curtis


ぶっといリズムで、汗が滴り落ちてくるような熱い演奏。お祭みたいにとても派手で賑やかな。
けれど、その裏側には、先祖代々受け継がれてきたような、とても癒されようのない痛みや哀しみのようなものが確かにある。遠い昔から人間が祈り続けてきた、哀しみ昇華させる行為としてのお祭りのDNAが、アフリカをルーツとする音楽には連綿と受け継がれているような気がするのだ。ジャズ、ブルース、リズム&ブルース、ロックンロール、ファンク…スタイルこそ変わっても、変わらない魂のようなもの。

こんな音楽を聴きながら、今年もみんな元気で無事夏を越せることを祈ることにしよう。

暑中お見舞い申し上げます。


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[C65]

まりさん、こんばんは。
祇園祭、行ってこられましたか。すんごい人でしょ?僕も何度か行ったことはありますが、人混みだらけであんまりいい思い出ありません。デートの約束をした女の子が来ずに他の男といた、とか(笑)。

>焼肉やホルモンを食べるようにソウルやジャズを聴きましょう!!

そう、僕はあんまり肉食ではないですが、この時期は肉食わなきゃ、と思ったりします。とにかく汗かいて新陳代謝をよくしなければ。
暑い日があと一週間は続くはず。ご自愛を。

[C64] ガツンとしたものを聴きましょう♪

goldenblueさん、お暑う御座います。

祇園祭の宵山へ初めて行きましたよ。
山鉾巡行はまだ見てませんが、初めてみる鉾は
大阪にはない優雅さと雅さがありました。

人波も三大祭りなだけあってかなりでした。
goldenblueさん地元なだけあってくわしいですね!

暑さには熱さは正解で、暑い夏にカレーや鍋物、ラーメン食べたりするし、あっさりした麺類だけだと
バテますね確実に。

焼肉やホルモンを食べるようにソウルやジャズを聴きましょう!!
  • 2010-07-20 09:02
  • まり
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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