fc2ブログ

Entries

The Style Council VS Sade

golden(以下g):「10代半ばの頃ってやたらと激しい音を求めてたんだけど、時代的にはすごくスノッブでおしゃれなのが新しい音楽としてもてはやされてたんだよね。」
blue(以下b):「スタイル・カウンシルは、ポール・ウェラーが元ジャムやなかったら聴こうと思う接点がなかったかも知れへんな。」
g:「いや、実際、最初に『Cafe Bleu』聴いたときは全然ピンと来なかったもん。」

The Style Council / Cafe Bleu(1984)

b:「めちゃくちゃおしゃれな音やからな。しがない田舎の高校生とは接点がなさすぎた。」
g:「そもそも、ロックのギターの音は歪んでいるものだと思ってたからね。」
b:「そうやなー。」
g:「今まで王将のチャーハンや餃子とかせいぜいファミレスのハンバーグくらいしか食べてなかったのに、いきなりフレンチのコース料理に連れていかれた感じっていうか。」
b:「出てくるもんがみんな食うたことないもんばっかり(笑)」
g:「なんとかのテリーヌとか、なんとかトリュフのなんとか風とか(笑)」
b:「そもそもポール・ウェラーが歌ってへんラップの曲が入ってたりとかな、意味わからんかった。」
g:「ミック・タルボットのインストとか、D.C・リーがメインの曲もあったね。」
b:「翌年にセカンド『Our Favoulite Shop』が出る前くらいか、シングルで“Walls Come Tumbling Down”がリリースされて。これ聴いてカッコええやんっ!って思ってから聴き直した覚えがあるわ。」
g:「あの曲はジャムにも通じる、ポール・ウェラーのモッズ好みがわかりやすい曲だからね。」

b:「で、その後、ファーストの方がいろんなことにチャレンジした充実作やったんやなって思い直したんよ。今聴くとファーストの方が楽しめる。」
g:「今もおしゃれとは程遠いけど。」
b:「おしゃれかどうかはどうでもええねん。ファンクやソウル、ヒップホップ、ジャズ、ボサノヴァ・・・いろんな音楽のスタイルを片っ端から演ってみたっていう感じがな、カッコええ。」
g:「スタイル・カウンシル=形式評議会、ていう名前のとおりだね。」
b:「ロック以外ならなんでも演るっていうのは、ある意味、当時の音楽シーンに対するポール・ウェラー流の反逆精神の現れやったんやろうな。」
g:「形骸化して形式を模倣するだけのロックにスピリットが感じられないことへのアンチテーゼ的なことだったんだ、と。」
b:「ジョン・ライドンがフリーキーな方へ行ったり、クラッシュがレゲエやダブを取り込んでいったのとスピリット的には同じことやったんやろな。」
g:「おしゃれで非ロック的といえば、シャーデーも大ヒットしました。」
Sade / Diamond Life(1984)
b:「シャーデーって、ヴォーカルのお姉さんのソロやなくてバンド名やってんな。」
g:「シャーデー・アデュというヴォーカリストを擁するバンドがシャーデー。」
b:「わかりにくいな(笑)」
g:「いや、ヴァン・ヘイレンとかもそういうバンド名だし。」
b:「まぁ、それはええねんけど。」
g:「音楽としてはいわゆるロックとは程遠いスムーズ・ジャズ。」
b:「なんかなぁ、ヌメっとしてて湿気が高いねんなぁ。」
g:「しっとりしてて潤いがあるというべきでしょ。」
b:「苦手やったわ。」
g:「これもいいなぁと思ったのは数年後だったかもね。」

b:「もっとジャズっぽいと思ってたけど、聴き直してみるとむしろソウルっぽいんやな。」
g:「実は、ティミー・トーマスの“Why Can't Live Together”というソウルの名曲をカヴァーしたりもしてます。」
b:「なんかいやらしい音色のサックスばっかり目立ってた印象やったけど、けっこうパーカッションが効いてるな。」
g:「パーカッションの生み出すナチュラルなグルーヴ感と、エレクトリックピアノの硬質な音色が、異なる風味と食感を作りだしてるよね。」
b:「シャーデー・アデュの歌もわりとさっぱりしてて。」
g:「さっぱりしてるけど、濃厚なコクもある。油切れは意外とよくて胃もたれしない。」

g:「あの当時にこういう音楽に触れていたっていうのは、後々にいろんな音楽を聴けるようになるための素養になったりしたのかも知れないですね。」
b:「高校生くらいの頃までって、正直カッコええかそうでないか、聴いてガツーンとくるかそうでないか、しかなかったと思うわ。今思うと。」
g:「興奮剤、カタルシス生成装置としてのロック。」
b:「とりあえずテンション上がればOKっていう、な。」
b:「こういう音楽で鳴っている音の豊穣さ、複雑さ、トータルのアンサンブルとしての美しさみたいなのに気づいたことが、音楽を聴くという行為を、若い頃の一時期の熱病ではなくずっと楽しめる感性の生成に役立ったんちゃうかということやな。」
g:「・・・という仮説。」
b:「いや、ほんまそうやで。うちの兄貴とかはメタルしか聴いてへんかったから、もう還暦にもなるのにメタルしか聴いとらへん。」
g:「それはそれですごいことだけどね(笑)」
g:「子供の頃はハンバーグやフライドポテトが大好きでも、大人になると出汁の旨味やらそーゆーもんがわかるようになるでしょ。」
b:「そやな。」
g:「でも、大人になってもハンバーグやフライドポテトしか食べてなければ、出汁の旨味には気づかないわけですよ。いろんなものを食べてはじめて、そういう舌が育っていく。」
b:「その理論には賛成やけど、いちいち料理に例えんでええねん。」
スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://goldenblue67.blog106.fc2.com/tb.php/1990-1bef42d3

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

Profile

golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

Calendar

04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

Gallery

Monthly Archives