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Pale Fountains VS Echo & The Bunnymen

golden(以下g):「80年代前半のイギリスの辺境からたくさんかっこいいバンドが出てきた話の続き。」
blue(以下b):「あの時期のブリティッシュ・ニューウェーヴはほんまええバンドがぎょーさんおったからなー。」
g:「大好きだったのはアズテック・カメラ。」
b:「俺はエコバニ、エコー&ザ・バニーメンやな。」
g:「両バンドとも、元々はパンクの影響で音楽を始めたらしいね。」
b:「そうやな、ロディ・フレームも“壁に貼ったジョー・ストラマーのポスターが剥がれ落ちかけている/後に貼るものは何もない”って歌ってるしな。」
g:「アズテック・カメラは、フリッパーズ・ギター以降にずいぶん持ち上げられてたよね。」
b:「おしゃれと言われりゃそうなんやろうけど、俺は普通にギターがかっこいいロックとして聴いてたわ。」
g:「アズテック・カメラのことは前回のロック名盤シリーズで取り上げたんで、今回は同系統のバンドでけっこう好きだったペイル・ファウンテンズを紹介しよう。」
b:「おぉっ、すっかり忘れてたけど、わりとよー聴いてたな。」

Pale Fountains / Pacific Street (1984)

b:「ジャケットだけみたらいかついパンクバンドみたいやけど、音はアズテック・カメラにも近い、いわゆるネオアコっぽい感じやった。」
g:「そんなにヒットはしなかったんだけど、かなり気に入ってたんだよ。今や忘れられた伝説のバンド感があるけど。」
b:「この時期、リヴァプールとかグラスゴーあたりからこういうバンドがいっぱい出てきてた。」
g:「ロータス・イーターズとかブルーベルズとかロイド・コール&ザ・コモーションズとか。」
b:「ザ・スミスも最初はこの流れで聴いた気がするな。」
g:「ちょっと青白い文学青年系。」
b:「音的にはアズテック・カメラの方がチャキチャキしたギター・ロックで、ペイル・ファウンテンズやロータス・イーターズはもうちょっとサイケデリックっぽさやソフトロックっぽい影響を感じたかな。」
g:「“Something On My Mind”みたいにパーカッションやサックスが効いてたり、“Unless”みたいにストリングスが入っている曲があったり。」
b:「ホーンが入っても軽くはならへんし、弦が入っても甘くはならへんねんな。」
g:「かと思えば“Natural”みたいな性急なリズムのギターロックもあって。」
b:「でも青筋立てて怒りまくってる感じでもなくて。」
g:「青年期独特の青臭さ、無敵の勢いと儚さや脆さが同居する、ちょっと今聴くにはイタイ感じだけど。」
b:「こういうのがぐっと来るのはまぁ青春期の特権やで。」

b:「なんていうかな、青春時代のアナザーサイドというか、陰鬱で孤独な感じ。ちょっとヴェルヴェット・アンダーグラウンドっぽいシュールさを含んだような青白さっていうか。」
g:「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやドアーズっぽい雰囲気を醸し出していたといえば、エコー&ザ・バニーメンもそうでした。」
b:「60年代サイケデリックっぽい雰囲気をそのまんま80年代に持ってきた、みたいな。」
Echo & The Bunnymen / Ocean Rain (1984)
g:「エコー&ザ・バニーメンのアルバムはジャケットがきれいだよね。」
b:「青くて透明感があるけどどこか仄暗い感じが、音楽性と共通しててええな。」
g:「当時からすごくネガティヴな音楽のイメージがあったね。」
b:「うん、暗いねん。」
g:「“The Killing Moon”とか“Noctarnal Me”とか。」

b:「電気消して、ヘッドフォンでこういう曲に浸り切るんが好きやったわ。」
g:「暗っ!」
b:「明るかったらええっちゅうもんちゃうわけよ。傷つきやすい青春時代には、ダークでヘヴィな世界をちゃんと認識しておくべきなんや。」
g:「まぁ、そういうのも大事でしょうけど。」
b:「大事やで、ほんま。10代の頃に女の子にモテモテで、クラスメイトからもチヤホヤされて、親とも教師とも喧嘩したりぶつかったりせえへんかった奴らなんか、大人になってからロクなもんにならへんやろ。」
g:「うーん、根拠がよくわからないですが。」
b:「そーゆーもんやって決まっとんねん。青春時代っちゅーのは、傷つくことで己を知るためにあんねや。」
g:「そーゆーもんですかねぇ。」
b:「そーゆーもんや。」
g:「ま、そういうことにしときますけど。」
b:「ただな、暗いばっかりやったらあかん。人生経験浅い時期に絶望だけしかなかったら死ぬしかあらへんやん。」
g:「暗い中でも一条の光が射すような明るさはエコバニにはあるよね。」
b:「このアルバムとかでも、後半、だんだん明るくなるんよ。“Seven Seas”とか。」

g:「なんだかほっとする明るさだよね。」
b:「冷たくて霞がかったような曲が続いたあとにな、このアコギのイントロが聴こえてくるだけですごい救われた気になるねん。」
g:「雲が切れて光が射した。」
b:「そうそう。深海で息を潜めてたんが、海面に上がって息吸った、とかな、そういう感じ。」
g:「なんとか溺れ死なずに済んだ、と。」
b:「ま、そこまで大袈裟なもんでもないけどな。このアルバムは聴くと浄化されるっていうか、精神衛生上けっこう大事なレコードやったわけよ。」
g:「ペイル・ファウンテンズにしろ、エコー&ザ・バニーメンにしろ、アズテック・カメラやザ・スミス、ロータス・イーターズやロイド・コール&コモーションズなんかにしても、当時ヒットチャートを賑わせていたロックに比べて60年代のロックからの直接的な影響が濃く感じられるよね。」
b:「中期ビートルズの美しさや、バーズのアコースティック感、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやドアーズの世界の裏側感とか。」
g:「まぁ、そもそもそういう音楽を、遡って聴くようになったのも、こういうレコードのアルバム評なんかで“ヴェルヴェット・アンダーグラウンドっぽい”とか“ドアーズの影響が色濃い”とか書かれてたからなんだけどね。」
b:「確かに、ロックのルーツを遡って聴くようになったのはこのあたりのバンドのおかげっていうところもあるやろうな。」
g:「今聴くとそこまでヴェルヴェット・アンダーグラウンドやドアーズっぽいとは思わないけど。」
b:「っていうか、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドとドアーズって、そもそもだいぶ違うし。」
g:「このあたりのバンドの音からは、70年代のハードロックやプログレとかの影響がまったくないんですよね。」
b:「70年代後半のA.O.Rとかディスコからの影響も全然ないな。全部すっとばして、60年代と直結、みたいな。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやドアーズが例に出されるのも、そういうイメージやったんやろうな。」
g:「たぶんこれは、パンクのムーブメントが一度ロックの進化を全部一度チャラにしたことが深く影響してるんだろうけど。」
b:「直接的にパンクな音やなくてもパンクの影響を強く受けているということやな。」
g:「パンクが焼け野原にした土地に新たに芽生えた新芽、みたいな。」
b:「焼畑農業かよっ!」
g:「そのツッコミ、いる?」
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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