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Yellow Moon/Neville Brothers



ニューオリンズといえばネヴィル・ブラザーズ。
1954年に長兄アートがホーケッツに参加したのを皮切りに、ミーターズや数々のセッション・バンドで、あるいはソロで、ニューオリンズの音楽シーンを司ってきたネヴィル4兄弟がネヴィル・ブラザーズを結成したのは1977年のことだけど、キャリアで言えばローリング・ストーンズ以上のキャリアを誇る重鎮。
1989年リリースのこのアルバムでは、よりアフリカ的なサウンドを志向し、ヴードゥーっぽい怪し気な感じも満載だ。



ファンクなギターのリズムとズレているようなパーカッションのリズムがなんとも不思議なグルーヴを生んでいる“Voodoo”。この呪術的なリズムが不思議にクセになる。
オープニングの“My Blood”にしてもそんな雰囲気の曲で、細かく刻まれる大きなグルーヴに乗せて「俺の血は母なるアフリカからやってきた」と歌い、世界中に連帯を投げかけるようなメッセージを帯びて熱くグルーヴしていく。



このアルバムはそういう大きなメッセージをコンセプトに様々な広がりを持っているのが特徴で、自由と権利がいつの日か叶えられると歌ったサム・クックの“A Changes Gonna Come”のアーロン・ネヴィルによる素晴らしい歌唱のカヴァーがあったり、“Ballade Of Hollis Brown”というボブ・ディランの曲までカヴァーされていたり、公民権運動の始まりとなったと言われるローザ・パークスに捧げた曲があったりする。
この“Sister Rosa”ではシリル・ネヴィルはラップにもチャレンジしていたり、“Will the Circle Be Unbroken”というゴスペルのスタンダードをカヴァーしたり、このバンドがアフリカン・ルーツから現代アメリカまでを地理的にも歴史的にも俯瞰した音楽を演ることで伝えようとしたメッセージが浮き彫りになる構成になっている。

ネヴィル・ブラザーズの音楽って、そういう意味では世界共通の普遍的な何かがある気がするんだな。
現代の都市生活者よりもむしろ、古代人に聴かせたらめちゃめちゃ受けるんじゃないかという気さえしてくる。
中世のアラビア商人やモンゴル人、あるいは白人に侵略される前のネイティヴ・アメリカンやアフリカ人なんかにレッド・ツェッペリンを聴かせても耳を塞ぐだろうけど、ネヴィル・ブラザーズなら一緒に踊るんじゃないだろうか、とか。



ラストはいかにもニューオリンズっぽいネヴィル・ブラザーズならではのファンクで大団円となるのだけれど、ここに至るまでの不思議なグルーヴこそが実はネヴィル・ブラザーズのネヴィル・ブラザーズらしい部分であり、ニューオリンズのニューオリンズらしい部分なのだと思う。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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