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Truth and Soul/Fishbone



フィッシュボーンの登場は結構衝撃的だった。
ファーストのミニアルバムがリリースされたのは85年だったかな。
パンク以降のシーンのイギリスでは、白人黒人混成のUB40やスペシャルズなんかがレゲエやスカとパンクをミックスしたような音楽をプレイしていたけれど、それをアメリカの黒人たちが逆輸入したような音がとてもインパクトがあったのだ。
“Ma and Pa”はファンキーなスカだけど、歌われているのは家庭崩壊だったりするわけで、このあたりがパンク以降のジェネレーションならではだ。



カーティス・メイフィールドの“Freddie Is Dead”を轟音ロックにしてカヴァーした曲から始まる88年のアルバム『Truth and Soul』は、それまでの軽量級スカパンクからより太くてラウドなロックに変貌していて、ハードでヘヴィーな音が痛快だ。



この轟音ロックへの変貌には、同時期に出現したリヴィングカラーやバッド・ブレインズら黒人ロックバンドの影響や、白人側ではラップとハードロックを融合させたビースティ・ボーイズや、レッド・ホット・チリ・ペッパーズらミクスチャーロックの影響もあったのだろう。

フィッシュボーンの中心人物であるアンジェロ・ムーアは1965年生まれ。中学校の仲間たちとバンドを結成したのは1979年だったそうだ。
彼らが育ったのは、ロサンジェルスのクレンショー地区で、黒人の低所得者層やジャマイカやハイチ辺りからの移民が住み着いている、LAでもっともヤバい地域。
そんな地域で70年代後半に育った彼らが飛びついた音楽がハードロックとパンクとレゲエとスカだったのは当然のことなのかも知れない。





ハードロックとスカの融合っぽい“Boning In The Boneyaed”にしろ、ダブっぽいファンクに歪んだギターとビートをからませた“Getto Soundwave”にしろ、そこにあるのは強いストリート感覚だ。

スノッブな人間が「これとあれをミックスしたらおもしろいんじゃないか」と頭で組み合わせたのではない、自らのストリート感覚から立ち上がった音楽。
不良の匂い、チンピラの匂いがプンプンするストリート感覚。
そのストリートっぽさは、ドゥワップやヒップホップなど多くのブラック・ミュージックと同じ根っ子を持っているし、パンクやレゲエとの共通点も多い。

失うもののない何重にも抑圧された貧しい若者たちからの反逆の一撃のような、古い世代を蹴散らして新しい自分たちの世代の音楽で世間に一撃を食らわすような、そんな怖いもの知らずのイキオイがかっこいい。
そもそもロックンロールもブルースも、まともな社会からこぼれ落ちた不良たちが作りあげていった音楽なわけで、そういう意味でしっかりと原点を継承した音楽だと思う。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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