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Introducing The Hardline to T.T.D/Terence Trent D'Arby

1987年はプリンスの『Sign Of The Times』がリリースされた年。
その年に、プリンスをも凌ぐ大物として鳴り物入りでデビューしたのがテレンス・トレント・ダービーだった。



ひとりですべての楽器をこなし、ソウル・ミュージックをベースにしつつもロックからの影響も濃いスタイルは当然プリンスを連想させるけど、テレンス・トレント・ダビーはプリンスよりももっとダイレクトにロックっぽかった。
ファンク度は控えめだったし、リズムも生音が多かったし、なによりプリンスみたいにヌメヌメとセクシャリティを巻き散らかさない男っぽさみたいなのがかっこいいなぁーと思って、こりゃあすごいのがデビューしたな、と思ったものだった。



アルバムのオープニングはゴスペルっぽく厳かに始まり、ヒット曲“If You Let Me Stay”で早くも頂天に達する。この曲のリズムの跳ね方や、サビの“ステーーーーーェィ”のシャウトなんてほんとかっこいい。
続く“Wishing Well”も印象的なサビがかっこよくて、時々鼻歌でパパパッ、パラパッ、パパパラッパ〜なんて浮かんでしまうくらいめちゃめちゃ耳に残る。



テレンス・トレント・ダービーは1962年、ニューヨーク州マンハッタンの生まれで、ルーツはアフリカ系だけではなく、アメリカ原住民やスペイン人、アイルランド人の血が混ざっているそうだ。母親はゴスペルを歌っていたらしいけれど、黒人コミュニティで育ったわけでもなく、物心ついたときにはビートルズやロックが当たり前にあった環境で育ったテレンスにとっては、ブラック・ミュージックも多くの音楽のひとつであり、絶対的な価値ではなかったのだろう。



“Dance Little Sister”なんてスタイルとしてはファンクではあるけれど、印象としてはほとんどストーンズみたいなロックだし、“I'll Never Turn My Back On You”でのレゲエの取り込み方なんかも、ロック経由っぽい感じがするし、“Rain”なんかもリズムの立ち方やメロディーの展開はロック的だ。
黒人的ブルース〜ファンクではなく、一度白人が咀嚼してロック化したR&Bが逆輸入された、というような印象で、ブラック・ミュージックもロックも等距離で同時進行で吸収してきたということがダイレクトに反映されている音楽だ。ジミ・ヘンドリクスやJBとダイレクトにつながるプリンスとはその辺りの様相がずいぶんと異なる気がする。

新しい世代のブラック・ミュージックだ、と当時やっとブラック・ミュージックの魅力がわかり始めた頃の20歳だった僕は色めきたったのだけど、残念ながらテレンスは2年後のセカンド・アルバムが不評でいつの間にか忘れ去られてしまった。僕自身もセカンド・アルバムの頃には興味がもっと古い音楽へ移っていったということもあっただろう。ちょうどロバート・ジョンソンのコンプリート・レコーディングスが出た頃だったはずだ。
蛇足ながら、今回この記事を書くにあたってセカンドを聴きなおしてみたら、めちゃくちゃかっこよかったということを書き加えておこう。




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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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