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Rapture/Anita Baker



アニタ・ベイカーさんが一躍ブレイクした1986年のアルバム。
いわゆるクワイエット・ストームっていうのかな。



アダルティー、シルキー、ロマンチック、ジャジー、スムージー・・・そんな言葉で形容される彼女の音楽は確かにお洒落で、バブル最盛期の80年代後半には粋なオトナのBGMとして流通していたことは確かではあるのだけれど、ただお洒落なだけではない、芯があってずしんと心に響く骨太さも魅力なわけで。



プロデューサーは元々アニタと一緒にチャプター8というバンドでプレイしていたマイケル・J・パウエル。
イエロージャケッツのリッキー・ローソンやジミー・ハスリップによるリズム隊や、ポール・ジャクソン・Jr、ネイサン・イースト、ジョン・ロビンソン、ポウリーニョ・ダ・コスタら一流ミュージシャンを迎えたトラックは、いわゆる70年代のジャズ/フュージョン〜A.O.Rの全盛期に近い肌触りだ。

この時代、R&B/ブラック・コンテンポラリーほとんどは、打ち込み系の安っぽいリズムで、歌は悪くないんだけどトラックがいまいち・・・と辟易していただけに、人力のもっちゃりしつつもタイトであたたかみのある音にグッときた憶えがある。

アニタさんはサラ・ヴォーンをリスペクトしていたそうで、なるほどハスキーな声がブルージーとも言えるのはそういうルーツによるものか。
ジャズっぽい気取った感じも少しありつつ、肌触りや感触はもっとソウル寄りというか、その前年に大ヒットしたシャーデーをより本格的に本物のアメリカン・ブラックが演ってグレード・アップさせたような感じが、あぁ、やっぱり本家本物だなぁと思ったわけで。



このアルバムは、80年代を通じてロックと融合してただのポップスになりかけていたソウル/リズム&ブルースのシーンをリセットする役割を果たしたんじゃないかと思う。
レコード会社主導、プロデューサー主導だった粗製乱造っぽい凡百のブラコンとは明らかに違う存在感で、レトロ・ヌーヴォー的に50年代ジャズと70年代A.O.Rを融合させてみせたアニタ・ベイカー。
この後、再び生音によるソウルや、ジャジーなテイストにヒップなソウルを融合させた音が主流を占めていく流れのターニング・ポイントになった作品だったのでは、と思ったりしています。








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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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