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Picture Book/Simply Red

10代の頃に聴いてきた音楽とソウル/R&Bの関係を振り返っていったとき、80年代の第二次ブリティッシュ・インヴェイジョンと言われた、ソウルから影響を受けたイギリス勢の存在は無視することができない。
いわゆるブルー・アイド・ソウルと呼ばれた白人がプレイするソウル・ミュージック。
カルチャークラブやポール・ヤングに始まって、ABC、スパンダー・バレエ、ワム〜ジョージ・マイケル、ポール・ウェラーのスタイル・カウンシルやアニー・レノックスのユーリズミックスなどなど、たくさんのイギリス人アーティストが、ハードなロックとは違うタイプのサウンドを披露していた。
ポール・ヤングなんて今聴くとめちゃくちゃソウルフルなヴォーカリストやなぁと思うけど、当時は女子供ウケの軽いポップスやん、と軽視していた。
それでも入りこんでくるようなポップさにはやっぱりなんだかんだ言ってもええもんはええな、と思えるものも多く、雑誌やラジオを通じてこういうのが黒っぽい、ソウルフルっていうのかと学んだのだった。
その後も続々と出てきたブロウ・モンキーズやスイング・アウト・シスターやスクリッティ・ポリッティやファイン・ヤング・カニバルズなどなど、そういった数多のブルー・アイド・ソウルのアーティストの中でも、これはロックというより完全にソウルじゃね?と思ったのが、ミック・ハックネル率いるシンプリー・レッドだったかな。



1985年のデビュー作『Picture Book』。
のっけからファンキーな“Come To My Aid”でスタートする。



“Holding Back The Years”などスロウな曲がヒットしたけれど、アルバムを通じてはけっこうファンキーな曲がポイントに配置されていて、そのファンキーなグルーヴは、他のブルー・アイド・ソウルのバンドに比べても頭一つ抜けてファンキーで、なんというか全然ロックっぽくないと思った。
今思えばそれほどではないにせよ、当時は本当にそう思ったのだ。
当時ヒットしていたアメリカの黒人アーティスト、マイケル・ジャクソンやプリンス、ティナ・ターナーの方がロックっぽくって、イギリス白人のシンプリー・レッドの方がソウルフル。
そういう逆転現象というか相互乗り入れ的な混交が起きていたのが80年代中期の音楽シーンだったのだろう。

ヒットした“Money's Too Tight”や“No Direction”なんて、もちろん太さも分厚さも及ばないにしてもJB張りにファンキーで、何よりもJBっぽさへのリスペクトをちゃんと表現している。





ブルー・アイド・ソウルという言葉はこの時代に始まったものではなく、60年代初頭、ライチャス・ブラザーズの頃からあったジャンル。
サム・クックがソウル・ミュージックを作り出す頃からの同時進行で白人たちによるソウルの真似事は存在していたのだ。
70年代の多くのA.O.Rアーティストもブルー・アイド・ソウルと呼ばれていたそうだけど、80年代のブリティッシュ・インヴェイジョンのバンドのソウルは、それらをよりももっと黒っぽいフィーリングがある気がする。
なんていうか、60年代70年代のアーティストからは、本来のルーツは別だけど黒人音楽のかっこよさを頑張って学んで取り込みました、或いはもっとあからさまに“ええ感じだったのでいただいてきました”という感じが残っているのに対して、80年代の音楽からは、生まれたときから普通にソウルがあって、小さい頃から自然に吸収してきた的なナチュラルさがあるように思えるのだ。そしてソウルへのリスペクトを堂々と表現している。

ミック・ハックネルは元々パンクから音楽を始めたそうだけど、そのパンクそのものがシンプルなR&Bとの親和性が高かったのだろう。
ジョー・ストラマーやミック・ジョーンズがレゲエや第三世界の音楽に共鳴したように、虐げられた黒人たちの歴史や、世界の端っこから闘争を叫ぶような黒人たちの主張も、ちょうど低迷期にあったイギリスの若者たちが共感しやすかったという側面もあっただろう。
自分自身も、パンクから始まってソウルへと辿っていったわけで、そういう点でも80年代ブルー・アイド・ソウルには共感度がどうしても高くなる。
彼らが白人的フィルターを通してアクを抜いて噛み砕いてくれたことが、僕がソウル~R&Bに興味を持つ橋渡しになってくれたと言えると思う。





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ブルーアイドソウルは結構なじみやすいです
スティーヴ・ウィンウッドも代表格ですかね

シンプリーレッドといえば元Asia,The Stone Rosesのアジズ・イブラヒムがいた記憶があります

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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