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Silk Degrees/Boz Scaggs



ボズ・スキャッグスといえば、70年代後半に一世を風靡したA.O.Rの代表的アーティスト。
A.O.RっていうのはAdult Oriented Rock、いわゆる大人志向のロックってことなんだけど、鳴っている音はロックというよりはリズム&ブルースの進化系だと思う。
ブルー・アイド・ソウルなんていう言い方もあるけど、肌の色や目の色で区別するのではなく音で判断するなら、このレコードをソウル/R&Bの名盤と呼んでなんの差し支えもないはずだ。



かっこいいねー。この立ったリズム。
このアルバムが流行った頃は小学生だったのでリアルタイムでの記憶はないけれど、80年かな、中学2年になって深夜ラジオを聴き始めた頃でもまだボズ・スキャッグスはお洒落でイケてる音楽の代名詞的なところがあって、当時流行の最先端を追いかけているような女子大生たちがこぞって「ボズ・スキャッグス最高」なんて言ってた記憶がある。
入口がそんなだった上に僕はその後パンクに夢中になっていったから尚更、ボズ・スキャッグスなんてまったく縁遠い音楽だと思っていたのだけれど。
今聴くと、すごくかっこいいんですよね。
当時もてはやされたであろう“We're All Alone”のようなバラードではなく、ファンキーなリズムの曲がかっこいい。
アルバムまるごと、ベースとドラムだけを聴くために聴きたいくらいだ。



演奏陣は、まだ20代前半だったデヴィッド・ペイチ (key)、デヴィッド・ハンゲイト (b)、ジェフ・ポーカロ (ds)で、このアルバムでのセッションを機にTOTOが結成されたというのは有名な話ではあるけれど、ギターがスティーヴ・ルカサーではないからだろうか、TOTOの印象とはずいぶん違う。ファンキーなギターのカッテイング、ホーンセクション、女性コーラス、どれもがすごく黒い。もちろんボズのヴォーカルも。



1976年という年はちょうどアメリカ建国200年で、小学生だった僕でもわかるくらい時代の空気が一気に変わっていった頃だった。ちょっと前までの大学生はかまやつひろしの“我が良き友よ”の世界みたいなバンカラっぽいのが普通だったのに、一気にポロシャツとテニスラケットとスポーツバッグみたいなスタイルになっていったのを覚えている。
そういう時代の中でボズ・スキャッグスの音楽はお洒落なアイテムとして消費されていった。

音楽に限らないだろうけど、本人の思いとは裏腹に、時代に乗ってしまって本人の意志とはずいぶん遠くまで行ってしまう流行というものがある。
流行は時に残酷で、消費し尽くされたあとは貼られたレッテルだけが残されてしまうことがある。

ボズは80年代のほとんどを休眠期間に充てたあと、ブルースやソウルの渋いアルバムをリリースするようになるのだけど(その頃にやっと僕も聴くようになった)、演ってきたのはずっとソウル・ミュージックだった。
2018年の来日の際のインタビューではこんなことを言っていたそうだ。
「音楽を始めて半世紀以上が経つけど、やってきたことはそれほど変わらない。ずっとソウルを歌ってきたんだよ。アプローチは常に同じだった。」




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[C3470] ご無沙汰しています

どうもご無沙汰しています。阪神優勝!!

このアルバム、すごく良いですよね。今もたまに引っ張り出して聴き入っています。

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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