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It's Your Thing/The Isley Brothers

「ソウル/R&Bアルバム 60's~90's」と銘打ったこの連載記事では、便宜上サム・クックとレイ・チャールズをソウルの始まりとしましたが、もちろん彼ら二人だけがパイオニアではなく、たくさんのアーティストが相互に影響を与えながら練り上げられたものであります。
彼らと同じ時代から活動を始めたアイズレー・ブラザーズもそのパイオニアのひとつ。
時代とともに常にブラック・ミュージックの最先端の音を取り込み、2023年の今も尚現役という、ソウルの生き字引みたいなグループだ。
50年代末にオケーリー、ルドルフ、ロナルドのアイズレー三兄弟によるドゥ・ワップ・グループとしてスタートし、60年代初頭には“Shout”やビートルズがカヴァーした“Twist and Shout”をヒットさせ、66年にはモータウンに移籍してここでもヒットを連発。
70年代に入ると、ジミ・ヘンドリックスからの強い影響を受けた5男アーニーをギタリストに据えた六人組バンドに変貌し、ロックの名曲をより黒いフィーリングでカヴァーしたり、ぶっといファンクやエロいソウル・バラードをリリースしまくったソウル・レジェンド。

そんなアイズレー・ブラザーズのアルバムでどれか一枚、となると、六人組になって自らのレーベルT-Neckを立ち上げた時期のこのアルバムではないでしょうか。
1969年の『It's Our Thing』。


JBにモロに影響を受けた匂いがプンプンする“It's Your Thing”がアルバムの代表的ナンバーだろう。
熱いファンクのリズムに泥臭さ満点のロナルドのシャウトとホーンセクションがファンキーな名曲だ。



他にも“Give the Woman What They Want”や“I Know Who You Been Socking It To”などJB流儀のファンクを中心に据えつつ、サザン・ソウルっぽい“Save Me”や、後のエロいバラードにも通じる雰囲気の“Love Is What You Make It”、ブルージーでニューソウルっぽい“Feel Like The World”などなど、ヴァラエティに富みつつアイズレー・ブラザーズらしさが全開の曲が盛りだくさん。





モータウンではたくさんヒットを飛ばしたアイズレー・ブラザーズだけど、沸々と湧き上がる時代の空気感を表現するには、すでにエスタブリッシュメントになってしまったモータウンではいろんな制限があったのだろう。
自主レーベルを立ち上げたことで自由な制作環境を手に入れたアイズレー兄弟たちは、その後ロックとファンクを融合させ、時代に呼応した実験的なサウンドを次々と展開していくことになる。
ただ、実験的とは言っても、自ら新しいサウンドを開発するというよりは、その時代で一番パワフルな表現をパクッてくるのが上手いのがアイズレー・ブラザーズだ。
パクるというと品が良くないけれど、パクッてくるっていうのはもちろん誉め言葉。
エルヴィスだってストーンズだってパクッて自分の表現を磨き上げてきたわけだし、そういうしたたかさこそがポップ・ミュージックを進化させてきた原動力なのだから。
ジミ・ヘンドリックスの、JBの、スライの、モータウンの、ニューソウルの、ええとこどりをかき集めた彼らの音楽がかっこよくないはずがないのだ。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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