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Soul Folk In Action/The Staple Singers



ステイプル・シンガーズのリーダー、ポップス・ステイプルズは1915年生まれで、1968年にスタックス移籍第一弾のこのアルバムをリリースした頃にはすでに50代。
世代としては1930年代に活躍したロバート・ジョンソンやビリー・ホリデイと同世代の人だけど、1950年代になってから、子どもたちとゴスペル・コーラス・グループを組んで頭角を現した遅咲きのミュージシャンだ。
ゴスペルに留まらず、同時代のフォークやロックをゴスペルの流儀で演ることで“時代とコミットしたゴスペル”を目指したようなところがあって、例えばこのアルバムの少し前にもボブ・ディランの“Blowin' In The Wind”やスティーヴン・スティルスの“For What It's Worth”やピート・シーガーの“If I Had A Hammer”など白人フォークシンガーの作品を、フォーク風の演奏+ゴスペルコーラスというスタイルでカヴァーしている。
高まっていた公民権運動へのシンパシーが背景にあったのだろう。
レイ・チャールズが白人のヒット曲をプレイしたのとはまた違って、ステイプルズのカヴァーは白人と黒人の融和の気運を感じるのだ。



ザ・バンドの“The Weght”のカヴァーは、ザ・バンドの解散ライヴ『The Last Waltz』で共演していることでもおなじみだけど、アレンジもわりとザ・バンド・ヴァージョンと近く、その分メイヴィス・ステイプルズのソウルフルさが際立っている。



メイヴィスのヴォーカルが際立つといえば、オーティス・レディングの“(Sittin' On)The Dock Of Bay”なんかでも同様に泣き度合いがすごい。
オーティスよりもより霧が深くて暗い海の色が浮かび上がってくるようだ。



ポップス・ステイプルズのギターも、リードもリズムも実にいなたくて味わいがあるね。
スティーヴ・クロッパーとも通じるリズムの心地良さにプラス、ちょっとブルージーというかスワンプ・ロックと近い雰囲気があって。



白人の作品といえば、アルバム一曲めの“We've Got to Get Ourselves Together”はデラニー&ボニーの作品で、デラニー&ボニーの元歌もかなりソウルフルなんだけど、それと共鳴するようにソウルフルでブルージーだ。

We got to get ourselves together
Take some time and talk it over
We've got to get ourselves together
Try and understand each other
The time is come, it's now or never
We must not wait until it's gone
Gone, gone, gone, gone

自分たちで勝ち取りましょう、時は来た、今やらなきゃ過ぎ去ってしまうわ、というような歌詞がいかにも自由を求める運動の気運が盛り上がっていた60年代後半らしく、彼らもそういう時代の流れとともにあったし、白人が作ったこういう曲を取り上げることそのものが人種融和のメッセージとなり得るという確信があったのだろう。

人種融和の夢と希望を高らかに力強く歌い、泥臭くもインテリジェントなソウル・ミュージックを作りあげたステイプル・シンガーズ。
このアルバムのリリースが68年の1月。その4月にマーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺されたことから、時代の気運は暗転していくことになる。










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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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