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Chuck Berry In Memphis/Chuck Berry

架空インタビュー
「チャック・ベリー、メンフィス録音のアルバムをリリース」



ー:チャックさん、こんにちは。今度のアルバムはメンフィスで録音されたそうですね。
CB:まぁ、最近けっこうメンフィスの連中がええ音出しとるからな、ちょっと気分転換にはええやろ、思うてな。
ー:オーティス・レディングやウィルソン・ピケットなど、エキサイティングなソウルですよね。
CB:まぁ、ワシのエキサイティングさには足元にも及ばんけどな、ワシもまだまだ若いもんには負けてられんし(※1)、ワシが本気で演ったらどんなもんか、見せといたらんとあかんやろが。
ー:オーティスさんは惜しいことになりましたね。(※2)
CB:は?オーティスがどうしたんや。
ー:あ、いえ、まだでした。
CB:何をゆーとんねん。意味わからんやっちゃのう。
(※1 当時チャック・ベリー41才、オーティス・レディングとウィルソン・ピケットは26才)
(※2 Chuck Berry In Memphisのリリースは1967年9月、オーティス・レディングが飛行機事故で亡くなったのは12月で、この時点でオーティスは存命)


ー:今回のアルバムは、ホーンセクションとも共演してソウル風ですね。(※3 Andrew Love、Gene Miller、James Mitchellらメンフィス・ホーンがレコーディングに参加)
CB:まぁ、ああいうんがウケとるみたいやからな、ちょっと入れてみたろ、っちゅー感じやな。
ー:ウケを狙ったということでしょうか。
CB:あほか、こら。ワシの音楽は狙わんでもウケるに決まっとるやろが。そもそもあいつらの演っとるような音の大元は全部ワシが作ったんやで。ワシの音をアレンジして演っとるに過ぎんやろが。
ー:大変失礼致しました。いや、おっしゃるとおりで。
CB:リヴァプールの小僧たち(※4)も今や世界中のアイドルになっとるけど、あいつらの音楽も全部大元はワシや。ちゃうか?
(※4 もちろんビートルズのこと)
ー:そうでした、もちろんです。
CB:まぁ、わかっとったらかまへんねんけどな。最近はすっかりロックやソウルやゆーて盛り上がっとるけど、誰のおかげでロックやソウルがこんだけメジャーな音楽になったか忘れてもうたら困んねや。

ー:さて、今回のアルバムの聴きどころをチャックさんからご紹介いただければ。
CB:そやな、気合い入れて演ったんは、一曲目に入れた“Back To Memphis”やな。その、いわゆる、ホーンセクションをぶいぶい言わす中で、ワシのギターを鳴らしまくりたかったんや。



ー:なるほど、確かにぶいぶい言わせてますね。
CB:そやろ。演っとるときもなかなかおもろかったわ。
ー:59年のヒット曲“Sweet Little Rock'n'Roller”を再演されたのはどういった意図だったのでしょうか。
CB:まぁ、ほら、あのリヴァプールの小僧たちやロンドンの小汚い奴ら(※5)がワシの曲をカヴァーしてヒットさせたやろ(※6)。あれはな、監獄暮らしやったワシが(※7)もう一回陽の目を浴びるええきっかけになったんは確かやねん。せやけど、他にもまだまだワシの名曲はぎょーさんあるからな、ちょっと掘り起こしといたろうと思うて。
(※5 もちろんローリング・ストーンズのこと)
(※6 ビートルズが63年に“Roll Over Beethoven”、64年に“Rock And Roll Music”、ストーンズは63年に“Carol”でデビュー、Around And Around““”Let It Rock”“Bye Bye Johnny”など多数カヴァー)
(※7 14歳のメキシコ人少女に売春を強要した容疑で、62年から63年まで服役していた)


ー:ロッド・スチュワートもソロでかっこいいカヴァーを演ってましたね。(※8)
CB:ロッド・スチュ?誰や、それは。
ー:あ、失礼。それは後の時代の話でした。
CB:よーわからんこと言うやっちゃなぁ、さっきから。
(※8 74年のアルバム『Smiler』で“Sweet Little Rock'n'Roller”をカヴァー。ロッドがジェフ・ベック・グループでデビューしたのは68年。)



ー:“I Do Really Love You”は、チャックさんには珍しいスロウナンバーですね。



CB:ホーンセクションもおるからな、ちょっとソウルバラードっぽいのんも演ってみたろうってゆーことや。
ー:素晴らしい歌声で私、感銘を受けました。正直チャックさんがそんなに歌がお上手とは思っていませんでしたので。
CB:いちいち引っ掛かること言うやっちゃな。
ー:失礼しました。
CB:ワシはギターも歌も作曲も天下一や、ゆーことをもっと知らしめやらなあかんな。
ー:この曲もそうですけど、このアルバムは、ロックンロールのかっこよさと同時に、大人っぽいチャックさんの成熟した魅力も感じさせてくれますね。
CB:まぁ、ワシもキャリア20年やし、渋いところも見せとかなあかんやろ。イキオイだけの若造にはでけへんことやしな。





ー:ブルースやジャズもお好きなんですね。
CB:お前、インタビューに来るんやったらもうちょっと勉強してから来いや。なぁ。ワシがロックンロールっちゅーのんを発明するまでは、一番ヒップな音楽ゆーたら、ブルースとジャズやったんや。ワシはそういう音楽から影響を受けて、ああいう音楽を一生懸命練習して身につけて、それを混ぜ合わせてビートを早めてロックンロールを作ったんや。(※9)ロックンロールを生み出したワシは天才やけどな、せやからゆーて偉大な先人への敬意を忘れとるわけやないねん。
(※9 チャック・ベリーのアマチュア時代にアイドルはジャズ的なプレイを得意とするブルース・ギタリストのTホーン・ウォーカー。チャックのギター・リフは、ブギウギやブルースのピアノのリフを真似たと言われている。)

ー:はぁ。
CB:だいたい近頃の若い連中は、そういう先人への敬意っちゅーもんをないがしろにしすぎとるねん。そう思わんか。せやからな、ワシのこと思いださせたろ、っちゅーのが今回のアルバムの狙いでもあんねや。しょーもないことばっかりゆーてんと、ワシの凄さをもっと書いといてくれよ。
ー:ハイ、いや、本当にかっこよくてエキサイティングな素晴らしいレコードです。
CB:わかっとったらええねん。
ー:本日はどうもありがとうございました(ひぇ〜、どつかれるかと思ったわ。。。)



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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