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Stray/Aztec Camera

golden(以下g):「さて、ローリング・ストーンズから始まって、60年代から90年代まで、大好きなレコードについて駄弁ってきましたが。」

blue(以下b):「まったく、しょーもないことばっかりぎょーさんしゃべったなぁ。」

g:「90年代があまりにも少なかったんで、もう一枚おまけを。」

b:「おう。」

g:「アズテック・カメラの1990年リリース、『Stray』です。」



b:「アズテック・カメラの名盤ゆーたら、ふつう『Hiland,Hardrain』ちゃうんか?」

g:「もちろんあれが一番の名作だし、メジャーでのヒット作『Knife』も名作なんだけど、個人的にこれが一番好きで。」

b:「うーん、アウトテイクの寄せ集めみたいな、焦点の定まらん作品やという印象があるけどな。」

g:「そう、その寄せ集め感がいいのよ。ロディー・フレーム大全集みたいで。」

b:「まぁ確かに。ウェス・モンゴメリー風の小洒落たインスト曲もあれば、サード・アルバムで演ってたみたいなソウル風もあるな。」

g:「『Knife』で演ってそうなディラン風弾き語りもあるし、ストーンズっぽいロックンロールもある。」

b:「“Get Outta London ”もぶっきらぼうなシャウトがかっこええし、“The Crying Scene”なんかディストーションかましたギター弾いてるしな。」



g:「ロディー・フレームが速弾きしてる(笑)。」

b:「演ろうと思えばどんな風にでも演れる、っていう天才ぶりをひけらかしてんのがちょっとハナにつくな。」

g:「そういうところがロディー・フレームらしくていいんだよ。」

b:「それがこのアルバム推しの理由?」

g:「いやいや、このアルバムが大好きな理由は、この曲が入ってるからなんだよ。元クラッシュのミック・ジョーンズと共演した『Good Morning,Britain』。」



b:「この曲って完全にBig Audio Dynamiteやん。」

g:「B.A.Dにロディー・フレームが客演、みたいなくらいだよね。」

b:「禁じ手っていうか、ほんまはやったらあかん奴ちゃうん?」

g:「ロディーがね、緑のジャージ着てミック・ジョーンズと嬉しそうに演ってるんがね、なんかいいと思わない?」

b:「確かにクラッシュは少年時代のロディー・フレームのヒーローやったんやろうけど。」

g:「憧れのスターとの共演ですよ。」

b:「いや、なんかな、例えば氷川きよしが、少年時代の憧れでしたって、高崎晃とラウドネス演ってるみたいな違和感。」

g:「あ、それも観てみたいね。」

b:「いや、そうやなくて。あるやん、なんぼ子供の頃に好きやった、ゆーても、壊したらあかん氷川きよし感っていうのが。あの人は結局壊してしもうたけど。」

g:「まぁ確かに。ここまで築きあげてきたロディー・フレームっぽさは台無しかもね。」

b:「そやろ。」

g:「でも、僕がこの曲に惹かれるには、その台無し感なんですよ。」

b:「どーゆーこと?」

g:「今までのロディー・フレームっぽさを全部捨てて新しい場所へ行こうとする覚悟っていうかね。」

b:「うーむ。」

g:「この時期、ロディー・フレームは明らかに迷ってるのよ。」

b:「ま、どの曲も中途半端というか、手癖で作ったみたいな既視感はあるわな。」

g:「いや、たぶん半分以上はアウトテイクだよ。レコーディングしないロディーに業を煮やしたレコード会社が勝手に寄せ集めたんだと思う。」

b:「なるほど。」

g:「ロディー自身はもうアズテック・カメラとして何を演りたいか見えてなくて、今までと何か違うことを演りたい。違うことを演って違うフィールドへ行きたい、と思ってたんじゃないかな。」

b:「天才故の孤独な悩みか。」

g:「周囲からは、あの天才的なヒラメキの塊みたい『Hiland,Hardrain』っぽいのを求められるんだろうね。」

b:「一番の出世作やしな。」

g:「でも、ロディーにとってはもう過去なんだよね。」

b:「たぶん、同じようなのをなぞっても、若き日の天才的なヒラメキで作った作品を越えられへんのがわかってる。」

g:「クラッシュが少年時代のヒーローだったなら、同じところに留まることは後退だって思ってただろうね。そんな縮小再生産を延々と演っても楽しくないよね。」

b:「せやから、過去の自分の幻影を振り切るようなのを演った、っていうことか。」

g:「いや、知らんけど。」

b:「知らんのかーい。」

g:「でもたぶんそうだよ。そういうかっこよさがこのアルバム推しの理由。」

b:「ロディー・フレームはこのあともアズテック・カメラとして2枚のアルバムを出したあと、今はアダルトな弾き語り路線で粛々と演奏を続けてるみたいやな。」

g:「ソロも聴いたことあるけど、まぁ、なんていうか、大人の音楽だよね。」

b:「よくできたつまらん音楽、な。迷いのない、あんまり響いてこん音や。」

g:「だからこそ、この時期の若気の至りみたいなトチ狂った暴走感がかっこいいのよ。」

b:「一度ぶっ壊さなきゃ新しいステージへ上がれない。そういうもんなんやろな。」








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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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