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Skylarking/XTC

golden(以下g):「大学時代の4年間、1985年から88年はほんとうにたくさんのレコードを聴きました。」

blue(以下b):「年間300枚以上、4年で1000枚はゆうに超すくらい聴いたな。」

g:「貧乏学生がなんでそんなに聴けたかっていうと、レンタルレコード屋でバイトしてたからなのですね。」

b:「当時、別のバイトしてたんやけど、うっとおしいしちょうど辞めようと思うてたとこでバイト募集の貼り紙見てな。」

g:「あ、ここでバイトするしかないって。」

b:「当時はリリース直後から即レンタルOKやったから、最新リリースのアルバムから古い名盤まで、ソウルもジャズも含めてただで聴き放題やった。」

g:「趣味と実益を兼ねた素晴らしい職場だったね。店で流しながら毎日一枚はカセットテープに録音して帰って。」

b:「某T●SUTAYAとかやと店のBGMは本部からの指定で、自分で選ばれへんらしいで。」

g:「当時のレンタル・レコード店はローカルでのどかだったからね。」

b:「聴きたいと思ったらすぐに何でも聴けたからな。」

g:「大御所アーティストの全アルバムを順を追って聴いたり、ルーツやインフルエンスをたどって数珠つなぎ的に追っかけたり。」

b:「当時ブリティッシュ・ニューウェイヴ的なものも一世を風靡していて。U2、エコー&ザ・バニーメン、ビッグ・カントリー、アラーム、ウォーターボーイズみたいなギター・バンドは片っ端から追いかけた。」

g:「キュアーとかスージー&ザ・バンシーズ、バウハウスみたいなゴシックっぽいものはいまいち受け付けなくて、ポリスじゃスキがなさすぎる、ブリティッシュではないけどトーキング・ヘッヅじゃスノッブすぎる、とか思ってたところでXTCに出会ったかな。」

b:「1986年のアルバム『Skylarking』はちょっと異色な作品やったな。」

g:「レンタル屋でバイトしてなきゃ聴かなかったかも知れないね。」



b:「XTCはポリス同様にパンクのシーンから出てきたものの、しっかりとした音楽的素養と技術を持ったバンドで、スティーヴ・リリィホワイトやヒュー・パジャムといった個性の強いプロデューサーと組んだり、リリースのたびにスタイルを変えてきたバンドやったな。」
g:「もっとエキセントリックな感じだったのがこのアルバムは整理されて聴きやすいよね。それまでの硬質で尖った感じにくらべると、音の質感がやわらかいというか。」
b:「トッド・ラングレンのプロデュースは賛否あるみたいやけどな。」



g:「オープニングは穏やかな虫の音のS.Eで穏やかに始まるのです。」

b:「“Grass”、“The Meeting Place”とか牧歌的というかのどかなメロディーが続いて、すごくポップな“That's Really Super,Super Girl”。」

g:「ポップなんだけど、スコンと抜けずにもやっとしてる。」

b:「独特のアクというか、変なねじれがあんねんな。」

g:「知的なようで滑稽で、整然としつつ混沌としていて、ポップでカラフルでどんよりとくすんでいて。」

b:「どこか素っ頓狂というか、つかみどころがないっていう印象があるな。」



g:「それから“Bullet For A Rainy Day”“1000Umbrellas”“Seasons Cycle”あたりはまるで組曲みたいな流れ。ビートルズの後期やビーチボーイズの『Pet Sounds』にも感じられるようなコンセプトっぽさっていか。」

b:「そういう意味では『Sg.Peppers』みたいなレコードの影響下にあるんやろうけどな。でも、ビートルズというよりはキンクスと同じようなブリティッシュ・ポップの匂いを感じるねん。」

g:「ああ、そうだね。イギリス人独特の捻れたポップ感っていう感じ。」

b:「レインコート着て紅茶飲みながら、ぐちぐちと皮肉を言う、みたいな。」

g:「霧雨の中や雲の中にいるみたいに、視界がくぐもって方向感覚が狂うような感じだよね。」

b:「そうそう。エッシャーの騙し絵の世界みたいな。」

g:「出口が見えなくて戸惑ってしまうような。」

b:「何度曲がり角を曲がってもいつの間にか同じ曲がり角にたどり着いてしまう迷路に迷い込まされたみたいな。」



g:「後半は“Earn Enough For Us”にしろ“Big Day”にしてもちょっと英国トラッドっぽいメロディー。」

b:「“Big Day”なんかはもろ『Revolver』の世界っぽいな。」

g:「かと思えば、“Man Who Saled Around His Soul”は30年代のジャズっぽいし、“Dying”なんかはちょっとアシッド・フォーク。」

b:「パンク以降のニューウェイヴと呼ばれた音楽は、ロック的なスタイルの否定から現代音楽的なものや第三世界のリズムやいろんなものを取り入れていったり、一方で60年代回帰的な流れもあったりしてた。」

g:「特に86年87年ごろって、ポール・サイモンの『Graceland』とかピーター・ゲイブリエルの『So』とかロック以外の音楽の要素、特にアフリカ、アジア、南米なんかのいわゆるワールド・ミュージック的なリズムを取り込んだものが増えた時期でもあったよね。ユッスー・ンドゥールやサリフ・ケイタが脚光を浴びたり。」

b:「スティングがジャズ・ミュージシャンと『The Dream Of Blue Turtle』を録音したりもしてたな。」

g:「元々パンクはレゲエへの共鳴度合いが高かったし、P.I.Lやクラッシュ、ポップグループなんかが新しい音楽の扉を開けていったことからの影響ってあったんだろうけどね。」

b:「XTCは、そういうものを上手くブレンドして、シュールでキテレツでありながらも、ポップな側に留まっているバランス感覚がええなぁ、と思うねん。」

g:「敢えて大衆側にいないようなポーズを取って自分の世界観を崩さないように見せつつも、ちゃんと大衆に受け入れられる音作りをしている。」

b:「そーゆーところが、キンクスと同じ匂いを感じるところかも知れんな。」

g:「ひねくれものの寂しがり屋。ほっといてほしいくせに、本当にほっとかれると拗ねる。自由にやらせろと言いながら、受け入れられるかどうかはちゃんと読んでいる。」

b:「・・・なんか、自分のことディスられてるような気がするんは気のせいか?」

g:「気のせいかどうかは受け取る側次第ってことかな。」

b:「どっちゃでもええけどな。」

g:「まぁ、いいじゃない。誰にでも世界のどこかに居場所はあるんだよ。」

b:「それにしても、レンタル屋でのバイトっていうのは、良かったな。あの頃に聴いたものは全部その先で何らかの入口になっていったと思うわ。」

g:「居酒屋とバイト掛け持ちしてて、ご飯は居酒屋で、音楽はレンタルレコードで。」

b:「出費の中心を無料にできたのは時給以上にメリットあったしな。」

g:「でも、いつ学校行ってたんだろうね(笑)。」

b:「学校は行ってたで。午後から出かけて、授業出んと学食かBOX棟に入り浸ってただけやけどな。」










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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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