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◇同世代の女性作家

早く帰ることが多くなったので、帰りに本屋などに寄ることが増えた。で、ついつい買ってしまう。
奥さんも娘も眠ってしまった後、ワールドカップ中継をかけっぱなしにしつつ、寝転んでだらだらと本を読む。

最近買ったのはこんな本。


ロック母 (講談社文庫)  ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1)  パーマネント野ばら (新潮文庫)

ロック母 / 角田 光代
ダーティ・ワーク / 絲山 秋子
パーマネント野ばら / 西原 理恵子



角田光代さんは、新聞に載っていた清志郎への追悼文がとても素敵でそれから何冊かエッセイを読んだ。
絲山秋子さんという人はこの本が初めて。手に取った理由はタイトルの「ダーティー・ワーク」はじめ、それぞれの短編にストーンズの曲名が使われていたこと。ハハハ、我ながら単純だ。

角田作品にも絲山作品にもロックが登場するけれど、直接的にロックがテーマになっているわけではない。けれど、そこには、確かにパンク以降のロックが描いてきたのと同じ風景が見える。荒涼とした土地にひとりで立っている主人公。まわりに人がいない訳ではない、まわりの人との交流がないわけではない、けれど、ひとり。結局、人はひとりであることを否応なしに受け入れざるを得ない世界の中を、とてもさりげなく簡潔な文体で、しかも絶望的にではなくまたある意味とことん絶望的に切り取っている。それはもう、清々しいくらい。
そして、西原さんのマンガには、いつもブルースを感じる。
つまりは、つい笑ってしまう、或いは笑いとばしてしまうしかない、人の営みのおかしさ、滑稽さ、憐れさ、それも含めて最終的には肯定してしまう心のあり様。
今更、物語を読んで決定的な心の変化や影響を受けるなんてことはないけれど、いずれの作品も僕にとってはとても共感できる世界の物語だった。

おや?よく考えたら全員が女性作家。
しかも皆、とても世代の近い人。

若い頃、貪るように本を読んでいた時期というのは、結局のところ考え方のモデルや生き方の見本を探すような行為だったのだと思う。僕が共感し、好んで読んできた人たちは必然的に全員、父親以下、兄貴以上の世代の男性作家だった。その頃の女性作家といえば、少し古い世代の人は分別臭くてお説教臭かったり日常のことをたわいもなく書き連ねているだけだったり、もう少し近い世代の人は、ただもう前の世代のことを否定してぶっ飛んでいたりちゃらちゃらしていたりでどうも好きになれなかった。
しかしこの歳になって、共感できるのはやたら女の人ばかり。近い世代の男性作家は、みんなちまちましてるか情けなくてみみっちいか、或いは気取ってばかりのように僕には思えてどうも手が伸びない。
実生活でもそういう傾向はなきにしもあらずではあって(笑)、女の人の持つエネルギーや視野の細やかさや視点の深さには感服するばかり。野球賭博に揺れる相撲界じゃないけど、男の社会だけで生きてきた男はもはやダメなんじゃないかしら。性別を超えて、暮らしに一番近い場所から出てきたアイデアやメッセージがきっとこれからの時代に必要なんじゃないかな、っていうか、そんな時代はもう来ているんじゃないのかな、なんて思う今日この頃。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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