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Rose Of England/Nick Lowe,King Of America/Elvis Costello

golden(以下g):「10代後半には手当り次第にいろんな音楽を聴いたけど、その手掛かりはだいたい、好きなアーティストからだったね。」

blue(以下b):「清志郎がオーティスに影響を受けたと聞いてオーティス・レディングを聴いたり、モッズやアナーキーからクラッシュへ行ったり、ルースターズがヴェルヴェット・アンダーグラウンドをカヴァーしてたり、そういうところが入口になった。」

g:「ニック・ロウは佐野元春からだったね。」

b:「“ガラスのジェネレーション”のアレンジは最初ストーンズ風のロックンロールだったのが、ニック・ロウ風になった、って佐野さんがラジオで言ってて。あぁ、ニック・ロウっていう人がおるんや、と。」

g:「ちょうどその頃、ニック・ロウとエルヴィス・コステロがビートルズの“Baby,It's You”のカヴァーのシングルをリリースしたんだよ。」

b:「ま、正確にはシュレルズのカヴァーやけどな。」

g:「あ、そうか。」

b:「もちろんビートルズのカヴァーが有名なんやけど。この二人にはずっぱまりのカヴァーやな。」

g:「ニック・ロウとコステロって、ポール・マッカートニーとジョン・レノンみたいな立ち位置感があるよね。」

b:「ニック・ロウはそもそもベーシストやしな。」

g:「ポップ職人ニック・ロウと、シニカルでスタイルをコロコロ変えるコステロ。」

b:「二人ともポップミュージックの造詣が深くて、ちょっとマニアックな学者っぽいとこがあって。」

g:「ニック・ロウのアルバムで一番好きなのは、1985年リリースの『The Rose Of England』だね。」

b:「初めてリアルタイムで聴いたっていうのもあるけど、ポップやし、オールドスタイルのロックンロールへのリスペクト感がめっちゃ感じられるレコードやな。」




g:「1曲目からのりのりの“Darlin' Angel Eyes”。ニック・ロウ自身によるスイングするベースラインが気持ち良い。ポール・キャラックによるオルガンのリフもウキウキする。」

b:「後にリトル・ヴィレッジを共に組むことになるジョン・ハイアットの“She Don't Love Nobody”とかオールド・スタイルのロカビリーのカバー曲“7 Nights To Rock”とか、まぁ80年代中期の録音とは思えないくらい、古臭いというかアナログな音が良かったな。」

g:「マーティン・ベルモントのギターがのどかなインスト・ナンバーの“Long Walk Back”で和んで、ニック・ロウらしいカントリーっぽさの匂う“The Rose Of England”、溌剌とした“Lucky Dog”と続くA面。この流れ、気持ちいいな。」

b:「B面のスタートはシングル・カットされた“I Knew The Bride (When She Used To Rock 'N' Roll)“、バックを務めるのは当時人気絶頂だったヒューイ・ルイス&ザ・ニュースやった。」



g:「B面はその後、しっとりほっこり系が続くんだよね。」

b:「カントリーっぽい“(Hope To God) I'm Right、I Can Be The One You Love“や“Everyone”。なんとなくしみじみとセンチメンタルな気分になってしうこのB面の流れもまた絶妙。」



g:「“Indoor Fireworks”はコステロの曲だね。翌年リリースされる『King Of America』でコステロも演ってた。」

b:「コステロはやたら多作でどのアルバムが最高かって言われるとどれも決め手に欠けるとこがあるけど、俺はこの『King Of America』が一番好きやわ。」



g:「『Punch The Clock』『Good Bye Cruel World』とポップでソウルフルな作品が続いていたのが一転して、超渋めの作品になった。」

b:「コンフェデレイツ=同盟軍、と名付けられた演奏陣。アメリカで同盟軍と言えば、南北戦争の南部同盟を指す言葉でもあって、まぁネーミングからして自虐的というか敗北感バリバリなんやけどな。」

g:「プレスリーのバンドの黄金時代のメンバーだったジェームズ・バートン(g)やジェリー・シェフ(b)、ロン・タット(ds)といった歴史的重鎮に加え、R&Bの伝説ドラマーのアール・パーマーやアメリカンロックの名手ジム・ケルトナー、プロデューサーのT・ボーン・バーネット、その後プロデューサーとして頭角を現すミッチェル・フルームなど凄腕のミュージシャンが多数参加して実に渋く落ち着いた音を鳴らしている。」



b:「“Lovable”やとか“Big Light”といったご機嫌なナンバーは、さすがの風格を感じるな。」

g:「でも、このアルバムでぐっと来るのは、“Our Little Angel ”や“Indoor Fireworks”、“ I'll Wear It Proudly”、“Jack of All Parades”といったスロウな曲だね。少しかすれたコステロの声がすごく憂鬱を引きずってる感じ。」

b:「ちょっと疲れてくたびれた男の色気、みたいな。」

g:「世間に疲れて、山里の庵に隠居したみたいな音っていうか、侘び寂び感っていうか。」

b:「シンプルな演奏やからこそ、逆にメロディーのポップさが浮かび上がってきてるんやろな。」



g:「ニック・ロウもこのあと弾き語りっぽいのも演るんだけど、ニック・ロウもコステロも、どんな風に演っても結局ポップというか、ツボを外さないよね。」

b:「ロックンロールやリズム&ブルースやカントリーからの影響を包み隠さず、深い敬意と愛情を持って音楽と接している感じがするな。」

g:「パクッてきたんじゃなくて、オマージュね。」

b:「ニック・ロウは特に、ユーモアたっぷりで余裕綽々な感じ。」

g:「ニック・ロウのこういうおおらかというかアバウトな感じのゆとり感って憧れるよね。」

b:「コステロの皮肉っぽい感じのほうがキャラには合うてるけどな。」

g:「ニック・ロウもコステロもたくさんのバックボーン、いろんな引き出しがあって、その中から緻密に組み立てて、こだわりはこだわりとして細部まで譲らずに、それでも尚且つ出てきたものにはその苦心を感じさせないポップさがある。そういうところがかっこいいよよね。」

b:「いわゆる職人技やな。」

g:「そういう職人っぽいものへの憧れって、あるよね。手に職があれば一生食って行ける。」

b:「いや、そういう腕さえあれば、愛想がなくても多少態度が悪くても許されるからな。」

g:「そこかよっ!」












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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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