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Centerfield/John Fogerty,Southern Accents/Tom Petty&The Heartbreakers

golden(以下g):「84〜85年頃って、ほんといろんな音楽を手当り次第に聴いたね。」

blue(以下b):「あの時期、ニューウェーヴとかブリティッシュ・インヴェイジョンとかでピコピコしたりチャラチャラしたりの音楽が流行っとったけど、前回書いたヒューイ・ルイスやジョン・クーガーやブライアン・アダムスら骨太で泥臭いアメリカン・ロックがすごく元気で、どっぷりハマったなぁ。ま、ブライアン・アダムスはカナダ人やけど。」

g:「ジャクソン・ブラウンやボブ・シーガー、もちろんスプリングスティーンとその兄貴分のサウスサイド・ジョニー&ザ・ジュークス。」

b:「スプリングスティーンをまるごとコピーしたみたいなジョン・キャファティー&ビーバーブラウンバンドもおったな。もっと渋いところではジョージ・サラグッド&デストロイヤーズとかファビュラス・サンダーバーズとか。」

g:「そんな中でも大好きだったのは、C.C.R解散後のソロアルバムから8年ぶりに活動再開したジョン・フォガティの『Centerfield』だね。」



b:「女の子がキャーキャーいうように仕立てられた王子様ルックスのバンドがバカ売れしていた頃に、オーバーオールとテンガロン・ハットの、ど田舎の農家の親父のような風体の男が、いなたいロックンロールを引っさげて帰ってきた、っていう。」

g:「“The Old Man Down The Road”とか、え、この80年代に出す音か?ってびっくりしたわ。」

b:「森の中に伸びた一本の長いコードをどんどんどんどんとたどっていくと、ブルージーンズとGジャンの田舎くさい無骨な親父がいなたいギターを弾いて歌っている、あのプロモーション・ビデオもインパクトがあった。」

b:「ノーテンキなようで芯はワイルド。」

g:「8年ぶりの作品なだけあって、曲が粒ぞろいだったよね。」

b:「♪おまえの思い通りにはさせへんでー、ってプロダクションに悪態つくような曲があったな。」

g:「“Mr.Greed”。契約の関係でアルバムがリリースできなかったことへの恨みの歌らしい。」



g:「♪それは本当のこと、だってテレビで見たんだよ、って歌う“I Saw It On TV”にも社会批判的な視点が紛れてたり。」

b:「骨のあるおっさんやよな。」

g:「あと、哀愁漂う感じの“Big Train From Memphis”が好きなんだよね。」

b:「カントリーっぽいっていうか、中西部の田園風景みたいなのが浮かんでくるな。」

g:「遠い都会に憧れる少年みたいな気持ちになるね。」



b:「せやけど、やっぱりジョン・フォガティっぽいのは、ノーテンキな“Rock'n"Roll Girls”か“Centerfield”やろ。」

g:「“Rock'n'Roll Girls”には好きな歌詞のフレーズがあるんですよ。
時々思うんだ/人生はロデオみたい/時間切れまでなんとかかんとか乗りこなしていくしかないんだよ
っていうフレーズ。」

b:「うーん、若い頃よりもリアルに感じるな、それ。」

g:「そのあとこう続く。
けど、素敵な場所だってあるってこと/君も知ってるだろ/音楽や愛の中にある/言葉にできない何かみたいな
なんていうかな、、シニカルな世の中だけどポップに行こうぜ、って感じがね。」

b:「ええな。コードもGCDでシンプルやし、気分上がる。」





b:「もうひとり、渋いけど尖ったアメリカン・ロックといえばトム・ペティやな。」

g:「『Southern Accsents』。♪俺は生まれついての反逆者〜、って歌う“Rebels”が大好きだったんだよね。」



b:「トム・ペティらしくないホーンセクションがグイグイ来る。」

g:「ファンキーな“It Ain't Nothig To Me”もいいね。」

b:「俺には関係あらへん、っていう啖呵の切り方がトム・ペティっぽくてかっこええな。」

g:「なんていうか、ぶっきらぼうなんだけど、ちょっと気の弱さや優しさが見え隠れするっていうか。」

b:「精一杯突っぱってる感じがな、マッチョでオラオラな感じの“俺には関係あらへん”とは違うねん。」



g:「このアルバムって、ハートブレイカーズの中ではちょっとサウンドの毛色が違ってて、それがけっこうかっこいいんだよね。」

b:「♪俺の周りをうろちょろすんな、って歌う“Don't Come Around Here No More”とかな、サイケデリックな雰囲気で。」



g:「このアルバムは最初はトムのソロアルバムとして構想されたそうで。」

b:「“Don't Come Around Here No More”は、ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートのプロデュースやねんな。」

g:「そうやって新しい世界観にチャレンジする一方で、ロビー・ロバートソンがプロデュースしたザ・バンドみたいな曲も演ってて。」

b:「ラストの“The Best Of Everything”は泣けるな。」

g:「確か、リチャード・マニュエルとガース・ハドソンも客演してる。」




b:「これも歌詞がまた泣けるんや。
君が今夜どこにいようと/君が望むベストなものが手に入れられることを願ってるよ/君が何を探しているにせよ
・・・遠く離れてしまった元恋人だか旧友だかに捧げるような。」

g:「べたつかないクールさの中に愛がにじみ出てるっていうか、そーゆーところトム・ペティっぽいね。」


b:「ジョン・フォガティもトム・ペティも、どこか“俺は俺”的なシャキッとしたスタンスがかっこええな。」

g:「進化や成長なんてくそくらえ、時代の流行が何であれ、俺のやり方でやらせてもらう、って感じがするね。」

b:「俺のできることなんかたかが知れているし、俺は俺のできることをやるだけ。そんな気概に満ち溢れた“らしさ”が何よりもかっこええんやと思うわー。」









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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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