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Uh-Huh/John Couger Mellencamp



golden(以下g):「ジョン・クーガー・メレンキャンプの1983年のアルバム"Uh-Huh!"。これは、初めて聴いた高校生の頃からずっと大好きな一枚なのです。」

blue(以下b):「アーシーでラフでワイルドでかっこええよな。」

g:「“Jack and Diane”や後の“Small Town”のヒットの印象が強くてフォーキーなイメージがあるけど、このアルバムでそれを踏襲してるのはシングルの“Pink Houses”くらいだもんね。もっと埃っぽくてガサツなロックンロールが盛りだくさん。」

b:「なんちゅーか、短気で喧嘩っぱやそうな感じ、怖いもの知らずの一匹狼的な感じ、でもすばしっこくて狡っ辛いような感じもあったのが独特やったな。」

g:「ライオンやタイガーではなく、まさにクーガーっていう感じね。」

b:「よくスプリングスティーンと比較されてるけど、どこ聴いとんねんと思うわ。音楽としては全然違う。少なくともこのアルバムは。“Serious Bussines”とか“Loving Mother For Ya”とか、ストーンズに近いルーズなのりで、こういうのをスプリングスティーンはまず演らんし、演ったとしてもこんなチンピラ感は絶対出ぇへんやろな。」





g:「そういえばこのアルバムには、スペシャル・サンクスのクレジットにローリングストーンズへの謝意が、記されているんですよ。」

b:「元々フォークよりも、ミッチー・ライダーがアイドルやったらしいからな。」

g:「シンプルなビートにのってギターをガチャガチャ鳴らして、渋い喉で吠えるように歌われる、ちょっと甘酸っぱく苦味のある物語。理屈じゃなく、しびれる。」

b:「売れ線狙いの甘っちょろいのとは違う、ガツンとしびれる熱さとその裏にある孤独や怖れ。俺は俺だぜ、的なカッコのつけかた。」

g:「これこれ、こーゆーのこそがロックなんじゃないのか?!・・・って感じたことが、確かにその後の自分の嗜好に確実につながっていったと思う。」

b:「チープで粗野な演奏の中に、反骨心や負けてられるか感があふれまくっているっていうか、ほんまは弱っちいくせに負けん気だけはめちゃくちゃ強くて、とりあえず誰彼構わずファイティングポーズとるようなとこな。」

g:「なんとなく親近感が湧いたのかもね(笑)。」

b:「俺がこいつ凄い奴かも、って思ったんはな、このアルバムのチープさやねん。前作『American Fool』が大ヒットしたやん。普通やったら、当然次作はヒットを踏襲した似たようなんを演るわけよ。」

g:「それでファンがついたんだからね。」

b:「ところが、そんなんお構いなしに、全然雰囲気の違う、チープでラフなアルバムを平気でリリースすんのが凄いな、と。」

g:「売れ線なんて狙いません。今やりたいことをやらせてもらう、って。売れた名前も変えて本名にして。」

b:「やっと売れたから、約束どおり好きにさせてもらおう、みたいな。」

g:「ここで日和ったら一生日和り続けてしまう、一生嘘をつき続けてしまう、ただのポップスターに成り下がってしまう。力を持っている奴らは、持ち上げるだけ持ち上げて搾り取るだけ搾り取ったらあとはお払い箱にしてしまうんだ、ということがよくわかっていたんだろうと思うんだよね。」

b:「売れへんかった時期に、よっぽど嫌なことあったんやろな。クーガーっていう芸名もそもそも嫌ってたらしいからな。」



b:「オープニングの“Crumblin' Down”の歌詞はこんなんやで。

♪どうしょうもない奴らがおる
信用なんてできるわけないし、
到底好きにはなられへん
俺かて善いことをしているわけやないけど
罪になることはしとらへん
奴らの身代わりになることくらいはどうてっことはない
そんなん身に沁みついたもういつものこと
せやけど、俺が罪人だったことは
たったの一度もあらへんねん

・・・なんか、このタンカの切り方な。」

g:「♪俺は権力にはいつも戦いを挑む
だって権力がいつも勝つから

っていう“Authority Song”も、ジョンのスタンスがストレートに出てるよね。」



g:「とりあえず反逆や反抗はロックの象徴ですから。」

b:「でも、一方ではブライアン・アダムスも大好きで、同じように気に入って聴いてたんやで。」

g:「ジョン・クーガーの荒っぽさや埃っぽさとはある意味対極の、健康優良青年的なイメージだったね、『Cuts Like A Knife』とか。」

b:「今でこそチャチに聴こえるかもしれへんけど、1983年の高校2年生にはけっこうガシガシ来たんよ。」

g:「ブライアン・アダムス的に育ってたら、もっと違う青春時代を過ごせたのかなぁ。」

b:「いや、それは無理やろ。持って生まれたキャラ、っちゅーもんがあるからな。」







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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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