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Long Long Winter



It's gonna be a long long winter for me
A long long winter you'll see
That girl is gone from me
Left my heart in misery

And it's a long long winter for me
Now that she's gone gone gone days and nights are dreary and blue

Now that she's gone gone gone the lonely memories linger here too
Said that girl is gone from me
Left my heart in misery

(Long Long Winter)


ボブ・マーリィ&ザ・ウェイラーズの歌う“Long Long Winter”。
まだアイランドと契約する前、ピーター・トッシュとバーニー・ウェイラーによる3人組のコーラスグループだった頃の録音、まだバレット兄弟の強力なリズムが入る前ののどかな演奏で、山ほど出ていた編集盤のどれかに入っていた曲だ。
レゲエなのに冬の曲ってな、なんて思いながらなんにも考えずにご機嫌で聴いていた。
歌われている中身は“彼女が去ってしまって、長い長い冬のようだ”というもの。ほぼ訳すまでもないくらいの単純なハートブレイク・ソングだ。

孤独や寂しさを長い冬の寒さに例えるのは万国共通なんだな。
それにしても能天気な歌い方だな。っていうか、そもそも常夏のジャマイカで、冬の寒さなんてピンとくるものなんだろうか。。。

その謎は、ある日簡単に解けた。
カーティス・メイフィールドがいたインプレッションズの曲のカヴァーだったのだ。
何しろテキトーな編集盤のこと、作曲者のクレジットすらなかったから気づかなかったのだ。



インプレッションズの元歌は、これも能天気ではあるけれど、ボブたちのヴァージョンに比べれば冬の匂いがする。
かじかんだ手を息を吹きかけて温めるような、じんわりとした温もりや、それと対比しての外側の冷たさが感じられる。

この2曲を聴き比べながら、まだ若く、何者でもないただの音楽好きな青年だった頃のボブ・マーリィやピーター・トッシュを思い浮かべてみる。
キングストンの貧民街で、レコードなんて到底買えず、街頭から流れてくるマイアミやニューオーリンズ発のアメリカのラジオ曲に耳を傾けるボブとピーター。
俺らもいっちょ、こんな風に歌って金稼ごうぜ、ってなんてウェイラーズが始まっていったっんだろうな。

インプレッションズの“Long Long Winter”のリリースは1964年。そのときボブは19才、ピーターは20才。
まだおそらく、冬の寒さのことは知らない。
それからたった十年ほどの間で、ボブもピーターもずいぶん遠いところまで行ってしまったものだ。
ヨーロッパやアメリカのツアーで初めて冬の寒さを体感したとき、彼らはどんなことを感じたのだろう。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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