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Life In The Northern Town



救世軍の楽隊が演奏している
子供たちはレモネード
そんな朝が一日中続く
開いた窓からやって来た
若き日のシナトラ似の男が
街の喧騒を押しのける

彼らは石畳に座り込んでいる
ある男がタバコを取り出し
他の奴らは彼の話を聴いている
「1963年の冬は世界中が凍りついたようだった。ジョン・F・ケネディとビートルズのせいさ。」

北の街の暮らし
北の街の人生

夕方には雨になった
排水溝に渦巻いていく水を見ていたんだ
駅まで彼を見送りにいくみたいに
彼は手を振らずにお別れを告げたけれど
思いは伝わった
列車が視界から消えたときが
さよならの時

北の街の暮らし
北の街の人生

(Life in the Northern Town)

雲の切れ間の薄明のように、なんとなくぼんやりした憂鬱となんとなくぼんやりした希望が混ざったようなこの曲。
女声コーラスとコルネットがS.Eの風の音と入り混じり、チェロ、それにティンパニなんかの音が、雲の切れ目からほんの少しだけ顔を覗かせた薄い水色の冬の空みたいな、頼りない希望を感じさせる。
頼りない希望、それでもたぶんないよりは全然いい。

“救世軍の楽隊”というフレーズはサイモン&ガーファンクルの“冬の散歩道”にも出てきたフレーズで、このバンドがそういう60年代のフォークロック的なものからの影響を受けていることが伺える。

さて、救世軍の楽隊は、どんな音楽を奏でていたんだろう。
救世軍っていうくらいだから、明るくて能天気な行進曲みたいな音楽だったのだろうか。
能天気な行進曲に乗っかってパレードが街を練り歩く人々の中にはきっと、君の笑顔を見つけることができるだろう。
アフリカン・チャントみたいな♪Hey,Ma,Ma,Maのコーラスに乗って行進する君たちを、僕は道端に突っ立って見送っている。
ウサギの耳をつけたミッキーマウスみたいなキグルミを着た女の子たちが片っ端から風船を飛ばしている横で、浮浪者が新聞紙で紙飛行機を折っている。
「それ、全然飛びそうにないな。」
「こうすれば飛ぶんじゃないか。」
と言い終わらないうちに、浮浪者はドラゴンになって空へと舞い上がった。
雪が今にも降り出しそうな雲と、薄い水色の空。

・・・なんていう夢を見たような見なかったような。

気がつくとコタツの中。
知らないうちにうとうとしていたようだ。
テレビからは去年M1チャンピオンになった漫才師が何やらわめいている。
コタツの上には、食べかけのおせちと飲みかけのビール。
今年も一年が始まったようだ。



毎年のことながら、年末は大晦日まで働いて、お正月の三が日は実家への行き来でほぼ終了。
明日から普通に仕事が始まる。
お正月のおめでたさも年々薄れていくような気がするのは、仕事柄のものなのか、年を重ねたせいか、それとも世の中を覆うなんとなくどんよりした空気感のせいだろうか。
まぁ、がちゃがちゃと慌ただしいよりも、こうして平穏に年明けを過ごせるのは何よりありがたいことなんだろう。

今年もこんな感じでだらだらと。
今年もよろしくお願い致します。





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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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