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Ooh La La / The Faces




golden(以下g):「フェイセズの『Ooh La La』かー。これはいわゆる“しゃべくり漫才的ロックンロール”としてのセレクト?」
blue(以下b):「いや、ちゃうねん。フェイセズは漫才っちゅーより、吉本新喜劇やな。」

g:「ハハハ、なるほど。笑いあり、泣きあり。」

b:「ギャグの連発で笑かせまくったかと思えば、人情でほろり、って感じやろ。」

g:「子供の頃、寛平ちゃん、大好きだったよ。日曜日のお昼、毎週絶対観てたよ、“あっちこっち丁稚”。」

b:「土曜日の新喜劇とか、“花の駐在さん”とかな。」

g:「“あっちこっち丁稚”は、寛平ちゃんと木村進のからみが最高。」

b:「坂田利夫もな。」

g:「前田五郎に花紀京、室谷信雄に山田スミ子。」

b:「林家小染も出てたな。」

g:「チャーリー浜の“ごめんくさい”はみんな真似してたね。」

b:「小学校4、5年の男子ってああいうのほんま好きやな。俺は井上竜夫の“おじゃましまんにゃわ”派やけど。」

g:「子供の頃から渋好みだったんだね。」

b:「ま、そんなことはええねんけどな。」

g:「フェイセズの話でした。」



b:「オープニングからイケイケのブギー“Silicone Glown”で転がり出して、2曲目イアン・マクレガンのピアノがご機嫌な“Cindy Incidently”。」

g:「かっこいいよね。」

b:「ロニー・レーンの“Flag and Bunners”でひと息ついて、飄々としたロッドとロン・ウッドのスライドギターがうなる“My Fault”、それから“Bostal Boys”で大盛りあがりや。」

g:「いいね。」

b:「フェイセズのかっこいいところは、なんていうんやろなぁ、独特の軽さと明るさやな。」

g:「かっこつけてるのにどこかかっこつけきれない感じ。」

b:「そのかっこつけきれないかっこ悪さまで含めて愛嬌があるっていうか。」

g:「明るいんだけど、いわゆるアメリカン・ロックにありがちな能天気な陽気さとはちょっと違う。透明な感じの明るさというか、無邪気さというか。」

b:「同じブルースベースのブリティッシュ・ロックでも、ストーンズには凄みというか、本物のワルな感じがあるやろ。ふてぶてしくてしたたかで。」

g:「フェイセズはもっとチープで頼りなくていいかげんだよね。肝心なところでつい情が出て追い詰めた敵を見逃してしまったり、敵が仕掛けたハニートラップに簡単に引っかかってしまったり、そういうダメダメさがなんとも愛おしい、っていう感じ。」

b:「ストーンズみたくハスに構えた“人生どうせ全部冗談さ”って感じではなく、“なんだかんだいってもどーせぜーんぶ冗談なんだから!”みたいなニュアンスの突き抜けた明るさがあるねんな。」

g:「どこか哀愁がありつつ、悲壮感はなくて、明るくケラケラ笑ってる。」

b:「その軽さがええねん。まさに“Ooh La La”の軽さやな。ロッドのソロも『Every Picture Tells A Story』とか大好きやけど、軽さの分フェイセズの方が好きやな。」

g:「そのくせほろっと泣かせてくれるシーンがあるんだよね。“Glad and Sorry”みたいに。」



b:「泣けるなぁ、この淡々とした独白みたいな。」

g:「この辺りが笑いあり泣きありの吉本新喜劇的真骨頂ってとこ?」

b:「主人公の複雑な事情を知った近所のおっさんが諭しに入る場面やな(笑)。」

g:「そこからのわやくちゃな大団円(笑)。」

b:「メンバーそれぞれの個性が立っていて、かつ、このメンバーでないと出てこないようなグルーヴがあるねんな。」

g:「それは新喜劇の話?フェイセズの話?」

b:「あ、どっちもな。」

g:「イケイケのロッド・スチュワートとクールでトラッドなロニー・レーン。ヴォーカルの感じもまるで真逆で。」

b:「ロニーの歌が、自分の弱さを全部さらけだした上で“それでいいんだよ。”と言ってくれる歌やとしたら、ロッドのは逆に、その弱さを実は自覚していながらも“知ったこっちゃない、思うように好きなようにやりたいことやっちゃえばいいんだぜ”って歌うてくれる。」

g:「その二人をうまく仲介しているのがロン・ウッドの天性の明るさを持ったキャラなのかな。」

b:「間寛平と木村進と坂田利夫みたいやな。」

g:「ケニー・ジョーンズのドラムはときに煽り、ときには淡々と、物語の進行に合わせてる感じだね。イアン・マクレガンのピアノも。」

b:「抑えるときはしっかり抑えるし、行くときはみんなとことん行く。そういうコンビネーションのかっこよさがあるねんな。」

g:「一歩間違えば崩れてしまうような危ういバランスの上で、それぞれがそれぞれにお互いに信頼を持ってプレイする。そこに生まれる独特のノリこそが、フェイセズが味わい深くまた和ませてもくれる最大の理由なのかも。」

b:「まじで、新喜劇並みのコンビネーションやな。」



g:「グイグイはっちゃけて、ガチャガチャどたばたがあって、ホロリとして、ほっこり和んで。で、ひととおり聴いたあとにはなぜか元気になるんだよね。」

b:「人生いろいろあるけど、難しい考えんと笑うてたらええねん、ってフェイセズを聴くたびに思うわ。」








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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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