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Quadrophenia / The Who



blue(以下b):「4枚目はザ・フーの『Quadrophenia』でどうや。」

golden(以下g):「1973年の作品かー。ここまでの3枚、1964年の『The Rolling Stones』と『Beatles For Sale』、65年の『Rubber Soul』から一気に時代が飛びますねー。」

b:「ま、その間のいろいろは全部スルーや。」

g:「ジミ・ヘンドリックス、クリーム、レッド・ツェッペリン、キング・クリムゾンといった時代を変えた名盤名演がいろいろあるんだけど。」

b:「全部パス。」

g:「ドアーズやヴェルヴェット・アンダーグラウンドもストゥージズも?」

b:「とりあえずスルー。」

g:「ラスカルズもバッファロー・スプリングフィールドもデラニー&ボニーも?」

b:「ちょっと惹かれるけど、一旦パス。」

g:「『Begger's Banquet』も『Let It Bleed』も?」

b:「心苦しいけど、今回は敢えて外す。」

g:「あと、忘れちゃいけないビーチボーイズの『Pet Sounds』。」

b:「それもパス。」

g:「ひえー💦60年代後半〜70年代初頭の時期を抜かしてロックの進化は語れないですよー。」

b:「その『ロックの進化』を仰々しく捉えたくないわけよ。」

g:「前回も“ロックは芸術にならんでいい、エンターテインメントでいい”という発言がありましたね。」

b:「そもそもな、ダラダラと長いのんが好きやないねん。『Sg.Peppers』に始まるコンセプト・アルバムの類いはどれも聴いてていまいちおもんないのよ。グググッと来ぇへんねんな。『Pet Sounds』も『Court Of Crimson King』も『Tha Darkside Of The Moon』もや。」

g:「アーティストの世界観をいかに音楽で表現するかという点では興味深い試みだとは思うのですが。」

b:「そらそうなんやけどな・・・あー、そうそう、ちょっと前に“キング・オブ・コント”観てて思うてんけど。」

g:「ん?」

b:「コントにもいろいろあるけど、設定がシュールでなんか深い世界観がありそうなコントってあるやん。」

g:「けっこう好きだけどね。」

b:「嫌いやないねんけどな、、、ただな、、」

g:「ただ?」

b:「笑うとこが少ないねん。つかみの設定の面白さだけでそのまま終わるとか、どこかで世界観が転換する面白さか、ぐらいで、4〜5分のネタで笑うとこ3回くらいしかあらへん。」

g:「まぁ、ありがちだけどね。」

b:「それってお笑いとしてどうなん?って思うねん。」

g:「どういうこと?」

b:「やっぱりお笑いは笑わせてなんぼ。ポンポンと笑わせてほしい。そういう意味では、ボケとツッコミの応酬で次々と笑かしてくれる王道のしゃべくり漫才が一番おもろいんやわ。」

g:「ふむふむ。」

b:「自己陶酔したしょーもない世界観見せられるより、笑わせてなんぼの方がいわゆるカスタマー・ファーストやと思うねんなー。お笑いに芸術性は誰も求めとらん。それは演劇でやったらええねん。」

g:「つまり、コンセプト・アルバムのイマイチ感はそういうコントっぽい、ってこと?」

b:「まぁ、そういうことやな。ロックンロールはしゃべくり漫才。」

g:「なるほど。わかったようなわからんような(笑)。」

b:「ロックンロールはアドレナリン上げさせてなんぼや、ってことよ。」

g:「うん、まぁ、その、コンセプト・アルバムは下らんコントと一緒、という説はなんとなくわかったけど、今回選んだ『Quadrophenia』はそういう意味ではコンセプト・アルバムなんじゃないの?」

b:「そうや。そういう類いの中で一番かっこええのがこれやと思うねん。」

g:「なるほど。」



b:「波しぶきのS.Eのあとの“The Real Me”、ガツーンと♪Can you see a real me〜ってくるやん。そのあとブーンブンブーン、ってジョン・エントウィッスルのベースがうねってドカドカってキース・ムーンが入ってきて、ロジャー・ダルトリーがシャウトする。あれがたまらんのよな。ゾクゾクッってくるロック的快感が。」

g:「あれ、かっこいいよね。」

b:「あれをかっこええと思わんかったら耳腐っとんで。」

g:「個人の見解です(笑)。」

b:「いや、まじで。このオープニングだけでモト取れるくらいかっこええって。」

g:「コンセプト・アルバムではあってもロック的かっこよさが溢れている、と。」

b:「中盤くらいとか、ピート・タウンジェントが腕振り回しまくっとるんが音だけでわかるやん。」

g:「ま、確かに。」

b:「その次の“Quadrophenia”は各テーマの寄せ集め曲やけど起伏とうねりがあって、シンフォニックやけどロックっぽいかっこよさがあるし、次の“Cut My Hair”もフォークっぽく始まってもグイグイ押してくるし、“Punk and The Godfather”もキースがドカドカ叩いとるだけでかっこええ。」

g:「キース・ムーン、音デカいもんね。」

b:「ベースもうねりまくりや。」

g:「破壊力ありますね。」

b:「コンセプト・アルバムやけど、この4人が演奏したらめっちゃ骨太のロックになるわけよ。アタマでっかちなだけやなく、筋肉もモリモリ。」

g:「そのあたりが『Sg.Peppers』とは違う、と。」

b:「ま、同じフーでも『Tommy』はしょぼかったけどな。」

g:「(笑)」

b:「大学生になって京都へ出てきてすぐくらいかな、木屋町のロック喫茶で『Tommy』の上映会やってて観に行ってん。」

g:「“ぴあ”かなにかで見つけて(笑)。」

b:「そうそう。で、全然わけわからんかったわ(笑)。」

g:「『Tommy』に比べると『Quadrophenia』の映画版『さらば青春の光』はわかりやすいよね。」

b:「あれも同じとこで観たな。」

g:「ビデオとかなかったもんね。」

b:「まぁ、とにかくロックはわかりやすくなかったらあかん。」

g:「深みは『Tommy』の方があると思うけど。」

b:「深みなんかいらんねん。ガツーン、バキーン、おりゃーっ、やで、ロックバンドは。」

g:「うーん、それだけでもないような気もするけど。。。」

b:「もちろんそれだけやない。言うてることが真逆のようやけど、フーには深みもあるのよ。」

g:「深みなんかいらん、ってさっき、、、」

b:「ロック的スリルやエキサイティングさ、かっこよさのない深みはいらん。でもそれがあって深みがあるのはええやろ。」

g:「まぁ、ね。」

b:「人間誰しも表も裏もある。しかもそれは明確にはっきりと表裏やなくて、メビウスの輪みたいにねじれとんねん。」

g:「なんとなくわかるけど。」

b:「抽象的で哲学的な世界観と太くて荒々しい音の塊の融合、繊細さと豪快さの融合。鋼鉄の塊みたいに重く、かみそりみたいにシャープ。そういう相反する要素を両方いっぺんに演ってまうのがフーのかっこええとこやと思うわけよ。」

g:「キース・ムーンのドラムなんて、確かに狂気と冗談が紙一重なところがあるね。」

b:「ドラム聴いてるだけでアドレナリン上がるし、笑けてくるやろ。」

g:「アルバム後半の“Bell Boy”とか“Dr.Jimmy”とか確かに、笑えてくるくらいの凄みがあるね。」



b:「このアルバムでのフーの演奏のすごいとこは、愛と憎しみ、高尚と低俗、道徳と不道徳、希望と絶望、そういうものを裏表や左右の対になる関係性ではなく、地続きの同じ場所で入り混じって見る角度によっていかようにも見えるようにして表現できるっていうかな、相反する世界観を同時に表現してしまうとこやな。」

g:「そこがロック的ということですね。ロックンロールという言葉も、どっしりして動かない“ROCK”とどんどん転がっていく“ROLL”という相反する言葉の融合だもんね。」

b:「これに比べたらジミ・ヘンドリックスとかクリームはデカい音でガンガン演っとるだけやし、ツェッペリンはスタイリッシュすぎる。ビーチボーイズは弱っちすぎるし、キング・クリムゾンは観念的過ぎるし、ピンク・フロイドはロック的高揚感が低い、と思うわけや。」

g:「極端な言い方すると敵が増えるよ(笑)。」

b:「フーに関しては、ロック的どころか、描き出している世界は抽象画の大作みたいに芸術的ですらあるな。」

g:「ロックは芸術でなくていいんではなかったの??」

b:「芸術っぽさにかぶれてそれっぽくしようとするのはあかんけど、結果として芸術になってしまう、ちゅーのはええんちゃうか。」

g:「その理屈、全然わからん(笑)。」







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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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