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Beatles For Sale / The Beatles



golden(以下g):「ビートルズの『For Sale』、ビートルズの4枚目のアルバムだね。」

blue(以下b):「これ、ビートルズのアルバムで一番好きなんよ。」

g:「世間一般的には“地味なアルバム”だの“クリスマス商戦に間に合わせるためやっつけ仕事”だの“オリジナル曲不足を手垢のついたカバー曲で埋めた”だのと言われていたようだけど。」

b:「タイトルからして“ビートルズ、大売り出し”やしな(笑)。」

g:「ちょっと投げやり感あるよね。」

b:「ジョークとしては最高に皮肉が効いてる。」

g:「でもファンの評価もいまいちみたいなんだよね。」

b:「ええやん、好きやねんから。」

g:「どういうところが好き?」

b:「まぁひとことで言えば“ロックバンドとしてのビートルズのかっこよさ”がバランスよくまとまっている、っていうことやな。」

g:「ビートルズっていろんな側面があるから、どこを軸にするかで好みが変わってくるもんね。」

b:「ビートルズの価値を“明るく元気で健康的な少年たち”とするならばこのアルバムの感触は少し違和感があるやろうし、レノン=マッカートニーの作り込まれた楽曲や革新的実験的なサウンドに置いた場合にはまったく物足りへんやろう。」

g:「前者なら『A Hard Days Night』、後者なら『Revolver』か『Sg.Peppers』あたりが順当な名作になるかな。」

b:「そうなんやろな、でもな、この『For Sale』は、ロックバンドとしての円熟味もあるし、アイドルっぽさとは違う深みもあるし、後に顕著になるメンバーそれぞれの個性もはっきり出てるし、すごいビートルズっぽいアルバムやと思うわけよ。」

g:「アルバムの構成としては雑な感じするけどね。」

b:「いや、このとっちらかり方や作りこまれていなさ感が逆にええのよ。」

g:「そーゆーもんかー。」

b:「ジャケットの顔つきからしても、過去3枚の“明るく健康的”なイメージを否定するような重苦しさとふてぶてしさがあるやろ。」



g:「いきなりのコーラスに続いてアコギのカッティングから始まるNo Reply 、ボブ・ディランからの影響が指摘されるI'm A Loserのレノン作品2曲は、明らかに今までの楽曲とは異質なずしっと重い感触があるね。」

b:「続くBaby's In Blackも、ポールとの共作ながら、その印象はざらざらとして苦々しい。」

g:「アルバム後半のジョン作のI Don't Want To Spoil The Partyとポール作のWhat You're Doingでも不機嫌で内省的な感じが窺えるかな。」

b:「“もうあいつらの要求に合わせるのはやめや!”、“やってられへんわ!自分たちのやりたいことをやりたいようにやらせてくれよー”っていう感じ?」

g:「暗く不機嫌な顔つきでカメラに収まったジャケットにもそういう態度が表明されているかもね。」

b:「”いつまでも笑うてへんでー。”と。」

g:「Eight Days A Week とEvery Little Thing はずいぶんポップだけど。」

b:「この辺りはまぁファン・サービスというか、本来シングル用で準備したもののI Feel Fine/She's a Womanに軍配が上がってこの位置、という感じちゃうか。」

g:「このアルバムから『赤盤』に収録されたのはEight Days a Weekのみなんだよね。」

b:「このアルバムの地味さを象徴しているし、表側のビートルズでないのは確かなんやろうけどね、ベスト盤にカヴァー曲を収録しないというのは70年代以降の価値観であって、64年当時はこれらのカヴァー曲もビートルズの新曲として受け入れられてたはずやで。」



g:「そのカヴァー曲はたっぷり6曲。チャック・ベリー、リトル・リチャード、バディ・ホリー、カール・パーキンスが2曲、そしてドクター・フィールグッド&ジ・インターンズ。」

b:「たぶんライヴではしょっちゅう演ってたオハコばっかりなんやろうな。」

g:「当時ライヴ・バンドとして確かな演奏力を発揮していたビートルズの姿が刻まれている、ということですね。」

b:「ファーストやセカンドでいくつか取り上げていたガール・グループもTaste of HoneyとかTill There was Youみたいな中途半端なスタンダード曲もなしで、ウケを狙わずに彼らが本当に大好きでずっと演り続けていたような曲が選ばれたんちゃうかなと思うねん。」

g:「ジョンのRock and Roll Musicはパワーといいキレといい圧巻。」

b:「それに負けず劣らずなのがポールのMedley: Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey。」

g:「この頃まではポールもロックンローラー的なノリをばんばん前面に出してるよね。」

b:「そやねん。ポールがかっこええねん。そこがロックバンドとしてのビートルズの肝やで。」

g:「オールディーズっぽく配置されているI'll Follow The Sun はずっと長いことカントリーの古い曲だと思っていたのだけれど、実はポールの作品だと知って驚いたんだよ。」

b:「ジョンのシャウトがあきれるくらいにかっこいいMr. Moonlightと対を為す感じがええな。」

g:「リンゴが歌うHoney Don'tとジョージが歌うEverybody's Trying To Be My Baby は共にカール・パーキンスの作品で、リンゴのカントリーっぽさ、ジョージのロカビリーっぽさが二人のキャラにしっかりはまっていていい感じ。」

b:「あとは何だ、バディ・ホリーのWords Of Loveか。」

g:「今更のカヴァーの感じはするけど、このかわいらしいメロディーと美しいハーモニーは、一般的なビートルズっぽさの原型に忠実な感じがするよね。」

b:「ほらな、ビートルズらしさがあっちこっちにあって、初期のロックバンドとしてのビートルズとしては盛りだくさんすぎるくらいいろんな要素が入ってるやろ。」

g:「ま、確かに。地味なアルバムだなんてとんでもないかもね。」

b:「な、そう思うやろ。」

g:「最高傑作とするのはどうかとは思うけど。」

b:「最高傑作とはちゃうねん。一番好きなビートルズ。」

g:「なるほどね。」









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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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