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ロックのゆりかご Before and Around of Rock’n’Roll あとがき

ロックのゆりかご
Before and Around of Rock’n’Roll

まえがき

1 プレスリーの衝撃

第1部
2 カントリーブルース
3 ジャズのはじまり
4  デルタブルース
5 ジャグバンド
6 クラシックブルース
7 ヒルビリーミュージック
8 人間ジュークボックス
9 シティブルース
10 リズム&ブルースのはじまり
11 歌って踊れるエンターテイナー
12 100年の集大成
13 ホーボーソング
14 モダンブルース
15 ジャンプブルース
16 ビ・バップ
17 ホンカー
18 カントリー
19 ゴスペル
20 ドゥーワップ

第2部
21 エルヴィスが憧れた
22 メンフィスからシカゴへ
23 ロックバンドの原型
24 十字路にいたエルヴィス
25 最初のロックンロール
26 ブルージーなロックとロックなブルース
27 リズムの革新
28 ニューオリンズ
29 ロカビリー
30 ハードバップ
31 ソウルミュージック
32 エルヴィス以降のポップス
33 バディ・ホリーからビートルズへ

エルヴィス・プレスリーを軸に、その登場の背景を1920年代まで遡り、その後の影響も含め1960年までの約40年の流れを33の章に分けて紹介してきました。

そもそも、一般的にロックの歴史がエルヴィスもしくはチャック・ベリー以降しか語られないことに疑問があったのです。
ロックは突然湧いて出たものではなく、そこに至る歴史がある。それを知らないのはもったいない。
「ロックのゆりかご」でめざしたのは、『エルヴィス以前の音楽がロックの原型になっていったことを、社会的背景を踏まえて解きほぐすこと』、『ブルースはブルース、ジャズはジャズと縦割りにするのではなく、いろんな音楽が相互に複雑にからみあいながらロックが成立していったことをいろんな角度で拾いあげていくこと』でした。



現代のロックの形が整ったのが、僕が生まれた1960年代。
そのルーツになるジャズやブルースの最初の録音が今からほぼ100年前の1920年代。日本でいえば大正末期〜昭和初期で、僕の祖父が少年だった頃ということになる。
祖父は1911年(明治45年)の生まれで、1937年(昭和12年)に父が生まれている。
ちなみに曾祖父は1871年(明治4年)、曾々祖父にまで遡ると江戸後期嘉永年間の生まれだった。1840年代、まだ黒船が来る前のことだな。曾々祖父の名前は長太郎、妻はひさ。淡路島でそれなりの大農家だったらしい。
百数十年というのは個人史を遥かに越える長さだけれど、自分のルーツに置き換えるとたった4代程度のこと。そう考えると、百数十年という時間的隔たりはとても身近に感じることもできる。
曾々祖父・長太郎さんと曾々祖母・ひささんは幕末の混乱期に青春時代をすごし、曾祖父・栄太郎さんとその妻げんさんは文明開化と富国強兵の時代に育ち、祖父は戦争に行った。父は高度経済成長の時代を支えた。

ジャズやブルースの原型が生まれた黎明期は、ちょうど曽祖父・栄太郎さんが生まれた時代だ。
その世代が作った基本形を発展させたのが祖父の世代。祖父と同世代のミュージシャンとしてはT-Bone Walker(1910)、Django Reinhardt(1910)、Robert Johnson(1911)、Big Joe Turner (1911)、Woody Guthrie(1912)らがいる。
父の同世代はロックンロールの黎明期。Elvis Presley(1935)、Gene Vincent (1935)、Larry Williams(1935)、Buddy Holly(1936)、Roy Orbison(1936)らが実は父と同年代に当たるのだ。

ロックのルーツになる音楽の時代的距離感はそういう感じ。
そして僕が大好きなロックミュージシャンのほとんどは、父と1967年生まれ僕との間に生まれた人たちということになる。

温故知新という言葉があるけれど、時代を遡ることで改めてロックの魅力を再発見できた気がしました。
ずーっと戦前のブルースやジャンプ・ブルースを聴いたあとにエルヴィスにたどりついたらめちゃくちゃかっこよくて、当時の人たちの衝撃を追体験した気分になったり。

こういう人たちが影響を受けたり与えたりしながら音楽は進化していった。いや、進化ではないのかもしれない。時代と共に変化を繰り返していきながら多様化していった。多様化とともに世の中に深く浸透していった。
そういうことを俯瞰しながらそれぞれの時代の音楽を楽しめるということは、ほんとうに贅沢なことだと思います。



最後に、この「ロックのゆりかご」に登場したアーティストたちの生まれ年を列記しておきます。

C.W Handy 1873
Buddy Bolden 1877
Gus Cannon 1883
Kid Ory 1886
Ma Rainy 1886
Al Jolson 1886
Leadbelly 1888
Charley Patton 1891
Mamie Smith 1891
Blind Lemon Jefferson 1893
Bessie Smith 1894
Jimmie Rodgers 1897
Duke Ellington 1898
Thomas A. Dorsey 1899
Lonnie Johnson 1899

Louis Armstrong 1900
Emmett Miller 1900
Jimmy Rushing 1901
Son House 1902
Bing Crosby 1903
Scrapper Blackwell 1903
Tampa Red 1903
Fats Waller 1904
Count Basie 1904
Glenn Miller 1904
Pinetop Smith 1904
Leroy Carr 1905
Big Maceo 1905
Arthur Crudup 1905
Doc Cheatham 1905
Cab Calloway 1907
Tiny Bradshaw 1907
Louis Jodan 1908
Chu Berry 1908
Lionel Hampton 1908
Lester Young 1909
Ben Webster 1909
Benny Goodman 1909

T-Bone Walker 1910
Django Reinhardt 1910
Howlin' Wolf 1910
Robert Johnson 1911
Freddie Green 1911
Joe Jones 1911
Big Joe Turner 1911
Bill Monroe 1911
Mahalia Jackson 1911
Woody Guthrie 1912
Sonny Boy Williamson Ⅱ 1912
Muddy Waters 1913
Willie Dixon 1915
Billie Holiday 1915
Frank Sinatra 1915
Wynonie Harris 1915
Sister Rosetta Tharpe 1915
Charlie Christian 1916
Bill Doggett 1916
Dizzy Gillespie 1917
Ella Fitzgerald 1917
Elmore James 1918
Wild Bill Moore 1918

Charlie Parker 1920
Illinois Jacquet 1922
Hank Williams 1923
Lee Dorsey 1924
Johnny Johnson 1924
Dinah Washington 1924
Jimmy Rogers 1924
Jimmy Ricks 1924
Jimmy Reed 1925
Roy Brown 1925
Bill Heiley 1925
B.B King 1925
Miles Davis 1926
Bill Black 1926
Big Mama Thornton 1926
Harry Belafonte 1927
Bo Diddlley 1928
Fats Domino 1928
Ruth Brown 1928
La Vern Baker 1929
Chuck Berry 1929

Clyde McPhatter 1930
Ray Charles 1930
Little Walter 1930
Otis Span 1930
Scotty Moore 1931
Sam Cooke 1931
Ike Turner 1931
Junior Walker 1931
Little Richard 1932
Carl Perkins 1932
James Brown 1933
Lloyd Price 1933
Johnney Burnet 1934
Jackie Wilson 1934
Huey "Piano" Smith 1934
King Curtis 1934
Pat Boone 1934
Elvis Presley 1935
Gene Vincent 1935
Larry Williams 1935
Buddy Holly 1936
Roy Orbison 1936
Connie Francis 1937
Don Everly 1937
平尾昌晃 1937
Phil Everly 1938
山下敬二郎 1939
Neil Sedaka 1939
Cliff Richard 1940
Paul Anka 1941

1940年にはジョン・レノンが生まれている。

John Lennon 1940
Smokey Robinson 1940
Otis Redding 1941
Bob Dylan 1941
Paul Simon 1941
Brian Wilson 1942
Paul McCartney 1942
Jimi Hendrix 1942
Mick Jagger 1943
Keith Richards 1943
Jimmy Page 1944
Jeff Beck 1944
Eric Clapton 1945
Rod Stewart 1945
Neil Young 1945
Fredie Marcury 1946
David Bowie 1947
Bruce Springsteen 1949
Stevie Wonder 1950
忌野清志郎 1951

ほら、ここまで来たら、古い歴史が自分に馴染みがある時代と結びついてきたでしょ?






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Charlie Christianが結構よくて驚いたものです
そこからウェス・モンゴメリーに行きジョージ・ベンソンとスティーヴ・ハウに枝分かれしていったり
ジャズ系は面白いです

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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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