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ロカビリー ロックのゆりかご(29)

ロカビリーと呼ばれる音楽と、一般にロックンロールと呼ぶ音楽の区别がどこにあるのか、正直なところ僕にはよくわからない。
音楽的にはほとんど変わらない。
敢えて条件を挙げるとすれば、
・少人数編成のバンドでリズムはシンプル。
・ジャンプ・ブルースからの影響が濃いスイング感。
・プレイヤーは白人。
というところだろうか。

最初のロカビリー・バンドとされるのは、バーネット兄弟が率いたジョニー・バーネット・トリオ。





そして1956〜57年にはロカビリーと呼ばれるアーティストがたくさん出現した。

カール・パーキンス





ジーン・ヴィンセント





ジェリー・リー・ルイス





エディ・コクランやロイ・オービソンは、ロカビリーとはちょっと違うとは思うけど。









みなさん、ツッパッて精一杯カッコつけて見せる感じがもはや微笑ましいと思えるくらいいいね。
青臭くてみずみずしい。
音楽的には、T-ボーン・ウォーカーが発展させたシングルトーンのフレーズをさらに発展させたギターと、スラッピングなどで疾走感のあるグルーヴを作るベース、シンプルでリズムキープを第一としたドラム、連打の応酬でリズム楽器に徹するピアノ、ヒルビリー・ミュージックからの継承である少ししゃくりあげるようなヒーカップ唱法。
社会的には、とにかく何もかもに反抗しそうな、今までの価値観をぜんぶひっくり返してしまうような態度。



ロックンロールの誕生は、このようなフォロワーをたくさん生んだ。
エルヴィスの登場によって、今までの既成概念が打ち崩されたのだ。
親の世代のお説教やら学校で教わることと自分が感じる真実は別であっていい。新しい世代の価値観を発見した若者たちの前では、古い世代が押し付けてくる価値観などまるで意味のないものでしかなかった。
エルヴィス自身は軍隊徴兵以降はすっかり牙を抜かれてしまったけれど、エルヴィスの登場に狂喜し憧れた若者たちの間にその初期衝動的エネルギーやスピリットは受け継がれ、それは誰にも止めることができない大きなうねりになっていったのだろうと思う。

この後、60年代に巻き起こる反戦運動やウーマンリブや黒人解放運動といった社会的な動きはすべて若者たちが既成概念に「No」の声を上げたことから始まっていったもの。
その「No」の声は、実はロックンロールの誕生によって社会のモードが変わったということが影響としてあったのではないだろうか。
新しい時代が来る、古い価値観や既成概念はひっくり返していいんだという空気。
自由を求める抗議行動が動き出す社会的ムードの醸成という点では、ロックンロールの登場は間接的に関わりがあったはずだ。

極端な例えではあるけれど、ロシアにも中国にもエルヴィス的なものは登場しなかった。イランにもサウジアラビアにも。
もしロシアや中国にエルヴィスがいたら、イランやサウジアラビアでロックンロールが流行したら。
音楽で世界が変えられると無邪気には信じないけれど、ああいう国でロックンロールが流行したら、それは社会体制をも変えうるほどの大きなエネルギーを持って転がっていくような気がする。
かの国の支配層たちは、実はそのことを一番良く知っていて、ロックンロール的な娯楽をとても恐れていているのかも知れない。







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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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