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Summertime Blues

まじでやってられんわ
わめき散らしとうもなるで、ほんま
夏中ずーっと働き詰めで
なんとか稼いだなけなしの金
彼女をなんとかデートに誘ったのにやで
ボスがこう言いよんねん
「そらあかんで、
まだ仕事終わっとらへんやろが
残業してもらわんと」

どないしょうもあらへんわ
どーせーちゅーねん真夏のブルース
治療法なんかあらへんねん

おかんとおとんも言いよんねん
「日曜日に車使うんやったら
もうちょい家に金入れんかい」
で、ムカついたし仕事休んだったわ
ボスには仮病使うてな
「ほんなら車は使用禁止や
ろくに働きもせんのやったら」

どないしょうもあらへんわ
めっちゃムカつく真夏のブルース
治療法なんかあらへんねん

2週間ほどお休み取って
ヴァケーションでも楽しむわ
そや、この問題を国連に提訴や
議員さんはこう言いよった
「それはいかんともし難い問題ですがな、
ただ、君にはまだ、つまり、あれ、
選挙権がありませんからな」

どないしょうもあらへんわ
アホくさすぎる真夏のブルース
治療法なんかあらへんねん




数多くのロックバンドがカバーする「Summertime Blues」。
オリジナルは夭逝したロックンローラー、エディ・コクランの1958年のヒット曲だ。
僕が最初に知ったのは子供バンドの「アンタはまだまだ子供だよ」バージョンで、その次はザ・フーのライヴ・アット・リーズのバージョンだった。
清志郎は原発ソングの替歌にしていたけど、原曲はむしろ「ボスしけてるぜ」みたいなコミック・ソングの衣を被った皮肉ソングだったのですね。
1番は仕事の、2番では家庭の、そして3番では社会への、納得できないいらだちをユーモアを交えてくすぐる。
特に3番が強烈で、議員なんかどうせ票になること以外は関与しないんだ、という当てこすり(笑)。
まぁ「国連」なんて大袈裟なものが登場するのは、VacationとUnitedNationという韻を踏んだゴロ合わせなんだろうけど。



関西では祇園祭も天神祭も終わっていよいよ真夏。
なんだけど、思い返してみても、真夏にロクな思い出がない。
恋人と海へ行ったとか、仲間たちとキャンプで騒いだとか、そういう青春っぽい思い出が、まぁ皆無ではないけどほとんどない。
妻も娘も基本アンチ・アウトドアだからそういうのが家族サービスにもならないのです。

高校生の夏休みはひたすらバイト。
炎天下で高校野球のラジオ中継を聴きながら黙々と単純労働を繰り返した。
大学生の夏休みもひたすらバイト。
ビアガーデンのホール係とか、居酒屋の厨房とか。大文字の送り火のあとのめちゃくちゃな忙しさには、ボヤくへばるを通り越して笑うしかなかった。人間、ピークを超えると笑うんだと思った。
スーパーの仕入れ担当のおっさん相手に売れないパンを頭を下げて売り込んだ夏。
建築現場でうんざりするほどの資材をひたすら運び続けた夏。
上司に怒鳴られ、嫌味を言われながら、日々トラックで配達していた夏。今週はトマト、今週はジュース、今週はうなぎ、と配達中に売り込みをかけるのだ。

「お前んとこのパンはどれも全然売れんのう。返品全部持って帰れよ。」
「何?休みたい?工期押しとんねん。這ってでも出てこいや。」
「ノルマ達成でけへんかった分は、お前の給料から天引きやからな。」
浴びせられたいくつもの心ない言葉。
ハハハ、今ならまぁ笑い飛ばせるとはいえ、いくらでも自分なりのサマータイムブルースが書けそうだ。







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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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