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Fats DominoとニューオリンズR&B ロックのゆりかご(28)

ロックンロールのリズムの革新に、もう一方で間接的に影響を与えたのが、ニューオリンズのリズム&ブルースだった。

例えばファッツ・ドミノ。或いはロイド・プライス。もっとディープでファンキーなのはヒューイ・ピアノ・スミス&クラウンズ。


ファッツ・ドミノ。



ロイド・プライス。



ヒューイ・ピアノ・スミス。


いずれもファンキーで、踊りだしたくなるような躍動感があります。
また、歌い方もおおらか。揺れるようなリズム感。

音楽のメロディーやリズムというのは不思議に気温や気候とリンクする傾向がある。
風がきつく凍えるようなシカゴで育まれたマディ・ウォーターズのブルースは、コートの襟を立てて身をぎゅっと固くするようにタイトで他人を寄せ付けないようなソリッドさを漂わせているのに対し、南のニューオリンズではあっけらかんと開放的ですっからかんになるまで踊りたくなるような楽しさに溢れているのだ。



ロックンロールという音楽には、青筋立てて怒りを表明し、熱く情熱的に突っ走っていくようなスタンスと同時に、なるようになれ、とりあえずゴキゲンでいようぜという鷹揚なスタンスがゴチャ混ぜになっているようなところがある。

白と黒、明と暗、暖と寒、温と冷、北と南、夢と現実、希望と絶望・・・そういった相反する要素を裏表ではなく同時に抱えているのが優れた表現で、これを何の矛盾もなく表現できてしまうのがロックンロールというメディアだ。
そもそもがROCKとROLLという言葉そのものが相反する要素の対等結合なわけで。
そういうロックンロールのROCKな部分とROLLな部分のうちのROLLな部分に関して、ニューオリンズのリズム&ブルースは大きな影響を与えた。








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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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