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Little RichardとBo Diddley ロックのゆりかご(27)

こうして1920年代から遡ってロックンロールのルーツたどっていくと、ロックンロールというのはリズムの革新だったのだということがよくわかる。
スイング系のもったりしたリズムからエイトビートへ、更にはファンキーな16ビートへと続いていくリズムの革新に於いては、チャック・ベリーやジミー・リードよりも大きな役割を果たしたのが、リトル・リチャードとボ・ディドリーではなかったか。

リトル・リチャード(本名Richard Wayne Penniman、1932年12月5日 - 2020年5月9日)、ジョージア州メイコン生まれのミュージシャン、シンガーソングライター。
1955年、スペシャルティ・レコーズからデビュー。
エネルギッシュな歌唱法で、草創期のロックに決定的な影響を与え、激しいアクションでピアノを弾く姿も話題となった。



リトル・リチャードの1955年のヒット“Tutti Frutti”。



同じくリトル・リチャードの1956年のヒット、“Rip It Up”。
ドスドスドスと畳み掛けていくようなリズム、奇声とも言えるシャウト、圧倒的な熱量。
この疾走感と爆発力は、今までのジャンプブルースとは全然レベルが違う。今までのリミットを遥かに越えた別次元だと思う。



エルヴィスは多くの同時代のアーティストのカバー曲を録音したけれど、中でも多かったのがリトル・リチャードのカバーだった。
ただ、リトル・リチャードのカバーに関しては断然原曲の方がキレもイキオイもあってかっこいい。
アクが強すぎるというのか、エルヴィスのカバーの方がおとなしめで薄められた感じがしてしまうのだ。
もちろんこれは制作側の意図するところでもあっただろう。
リトル・リチャードはパンチが強すぎて、ロックンロールに興味を持ち出した白人の若者たちもさすがに拒否反応を示してしまう。だからこそ、エルヴィスが薄めた上で世間に放出する必要があったのだろう。
一種の翻訳みたいなものだ。
原曲に比べれば薄いとはいえ、それでも当時としてはじゅうぶんにハードで刺激的だったはずだし、若者たちがやがて本物に出会う地ならしをしてくれたとも言えるのではないだろうか。
それほどリトル・リチャードのロックンロールは、アクが強くて強烈だった。



一方でボ・ディドリーの曲はエルヴィスは一曲もカバーしていない。
これは、ワンコードでグイグイ押していくファンクの源流のようなボ・ディドリーのビート感がエルヴィスやサン・レコードのサム・フィリップスの理解の範疇外にあったからではないかと思う。

ボ・ディドリー(本名Ellas O.B. McDaniel、1928年12月30日 - 2008年6月2日)、ミシシッピ州マコム出身のロックンロール・シンガー、ギタリスト。
ボ・ディドリー・ビートと称される強力なリズムを基調とした彼の独特のサウンドは、ブルースとロックンロールの掛け橋となり、チャック・ベリー、リトル・リチャードらとともにロックンロールの生みの親のひとりとして知られる。



トレードマークともいえるドンスドンスドン、ドンドンというボ・ディドリー・ビート。
ドラムだけではなく、パーカッションやマラカスを含めたポリリズムのうねり。
メロディーはあってないに等しく、リズムに乗せてシャウトしたりわめいたりお説教したり。
ボ・ディドリーの音楽には、ヨーロッパ・ルーツのバラッドなどの痕跡が一切ないし、チャック・ベリーに見られるカントリー系の要素がない。
とにかくリズムが命。
エルヴィスにはまだこの感覚は少なかったのだろう。



リトル・リチャードがもたらしたスピード感や爆発力、ボ・ディドリーがもたらした複雑なリズムの高揚感。
これは、ロックンロールとそれ以前の音楽を分ける太いラインになっていく。









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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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