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Muddy Waters ロックのゆりかご(23)

マディー・ウォータース(Muddy Waters、本名はMcKinley Morganfield。1913年4月4日 - 1983年4月30日)、ミシシッピ州イサクィーナ・カウンティ出身のブルース・シンガー、ギタリスト。
シカゴにおいてエレクトリック・ギターを使ったバンド・スタイルのブルースを展開し、シカゴ・ブルースの形成に大きな足跡を残した。



マディ・ウォータースには、別格感がある。王者の風格というべき存在感や、孤高の頂きに立ったものだけが持つ凛とした崇高さがある。

マディ・ウォータースこそは、現代にも続くエレクトリック・ブルースを確立させた人。
若い頃にミシシッピでロバート・ジョンソンからギターを学び、アコースティックなブルースにエレキギターを導入した。

おそらくマディが演りたかったのは、ジャズのビッグバンドの中でブルースを弾いたT-ボーンのような流儀ではなく、あのようなテクニックを駆使しながら、ロバート・ジョンソンのようなデルタ流のブルースをよりパワフルにバージョンアップすることだったのだろう。
マディにはおそらく、メンフィスを出てシカゴへ来たときから、そのような明確なプランがあった。
プランに沿ったメンバーを一人ずつ集めながら、強力なバンド・ブルースを完成させていったのだと思う。





50年代のマディのバンドは、傑出したスター・プレイヤーを幾人も輩出した。



■ハープのリトル・ウォルター。
マディ・バンドのチンピラ切り込み隊長的なイメージがこの人にはある。
ハープの音色はやや硬めで、ちょっと突っかかっていくようなノリがあって。
フットワークも軽い人で、1964年には当時駆け出しのローリングストーンズとツアーを回っていたりもする。
そういえば、歌い方も少しミックが真似ているような形跡があるし、ストーンズへの影響は、アルバム「Blue and Lonesome」でリトル・ウォルターの曲を4曲もカバーしていたことからも明らかだ。



■ピアノのオーティス・スパン。
キラキラしたフレーズを得意とするかと思えばずっしりと重厚なプレイもできるマルチ・ピアニスト。
マディからはずいぶん可愛がられ、重宝もされたようだ。



■ギターのジミー・ロジャース。
控えめながらも堅実なプレイをこなすマディ・バンドの料理長。
年齢的にはマディより11才若く、リトル・ウォルターやオーティス・スパンよりは6才上。
ボスの意を汲んでやんちゃな若造たちを取りまとめる役割も果たしていたんじゃないかと思う。



■ベースはウィリー・ディクソン。
“The Red Rooster”や“I'm Your Hoochie Koochie Man”の作者としても有名。
どっしり構えた落ち着きのあるベースさばきと音色は、マディ・バンドの大番頭と呼ぶにふさわしい。




マディ・ウォータースの生み出した音楽は、南部のローカル音楽だったブルースをバージョンアップし、後世へと広げる大きな役割を果たした。
そして、二本のエレキギターと、ピアノ、ベース、ドラムという後にロックバンドの基本となるスタイルを定着させた。
ハープによるソロも含め、このスタイルをそのまま導入したのがローリングストーンズだ。





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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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