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Illinois Jacquet ロックのゆりかご(17)

イリノイ・ジャケー(Illinois Jacquet、1922年10月31日ー2004年7月22日)、ルイジアナ州ブルーサードで生まれ、テキサス州のヒューストンで育った。
ライオネル・ハンプトン楽団在籍中の41年にヒット曲“フライング・ホーム”で聴かせたR&Bスタイルのソロで一躍人気者になり、豪快にブロウするそのテナー・スタイルは「テキサス・テナー」と称された。
その後、キャブ・キャロウェイ楽団やカウント・ベイシー楽団でも活躍。



着火されたらそのまま突き進んでいくような疾走感といえば、この“Flying Home”だ。



この疾走感、たまらんですねー。
ドラムもベースもガンガン突き進んでる。
同じフレーズを繰り返してグルーヴを作り、頂点に向かって盛り上げていくわかりやすいスタイル、瞬間的にエネルギーを爆発させる演奏は、ロックだと思う。

イリノイ・ジャケーという人はけっこう長生きして演奏を続けた人なんだけど、モダン・ジャズの時代以降のジャズファンからの評価は不当に低い。
バタくさいところが受け入れられないのだろうか。フレーズが単純すぎて芸術性が高くないと思われているのだろうか。
実際、ジャズの人というよりは、R&B的なサックス、いわゆるホンカー的な魅力がこの人の持ち味だろうからやむを得ないのも知れないけれど、いわゆる頭でっかちなジャズ・マニアの人たちってこういうかっこよさに気づけないのかね、ってつい思ってしまうのです。(※個人の見解です)

イリノイ・ジャケーの吹く音は、とにかくソウルフル。
このスタイルはモダン・ジャズのサックス奏者よりもむしろ、キング・カーティスやジュニア・ウォーカー、時代を下ってクラレンス・クレモンスあたりに引き継がれていったようだ。
高校生の頃、ヘヴィーメタルよりもスプリングスティーンの“Born to Run”や“Thunder Road”にぶちのめされた僕にとって、ピアノやサックスがかっこいいロックというのは結構親近感があって、イリノイ・ジャケーがかっこいいと感じるのはそういう背景もあるのかも知れない。
太い音で朗々とサックスを吹き鳴らし、ブロウ一発で踊らせたり泣かせたり。
そういうサックス奏者って今や絶滅危惧種になってしまいましたね。



これは、ずいぶん後年の68年の録音だけど、いかにも黒っぽいフレーズと質感、こういうのをソウルフルっていうんだろうなと素直に納得する音楽だ。









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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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