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Dizzy Gillespie ロックのゆりかご(16)

ディジー・ガレスピー(本名John Birks Gillespie、1917年10月21日 - 1993年1月6日)は、サウスカロライナ州チーロー出身のジャズミュージシャン。トランペット奏者でバンドリーダー、作曲家。
アルト・サックス奏者のチャーリー・パーカーと共に、モダン・ジャズの原型となるスタイル「ビバップ」を築いた功労者の一人としてジャズの歴史上で讃えられている。



カウント・ベイシーやデューク・エリントンやらのビッグバンドによりスイング・ジャズから発展していったのがビ・バップ。
ビッグバンドスタイルとの大きな違いは、少人数のコンボであることと、各個人の即興演奏によるソロを大胆に導入したこと。
カウント・ベイシー楽団なんかはすでにスコアなしでのヘッドアレンジで演奏していたそうだけど、これを強力に展開していったのがビ・バップだ。
ジャズといえばソロの即興演奏というのはモダン・ジャズ以降は当たり前になったけど、こういう丁々発止のソロ・バトルが繰り広げられるようになったのはビ・バップの時代から。
これをチャーリー・パーカーと共に大きく牽引したのが、ディジー・ガレスピーだ。

若い頃、モダン・ジャズの深刻ぶったインテリっぽい頭でっかちさが大嫌いだったんだけど、ビ・バップはもっとストレートにかっこいい。
こねくり回したものではなく、もっと素直にエネルギーの爆発的なソロが炸裂する感じがする。
彼らの始めた即興演奏が、後のクリームやジミ・ヘンドリックスらに与えた影響は大きいのだけど、それ以上にこの瞬間的なエネルギーの爆発が、ロックっぽいと思うのだ。
着火されたらそのままノンストップで突き進んでいくような疾走感とうねり。
ただただ理屈抜きに単純にかっこいいと思うのですよね。



特にかっこいいなぁーと思うのは、ビ・バップの王者チャーリー・パーカーよりもディジー・ガレスピー。
チャーリー・パーカーは、敢えて言えばヘヴィーメタルの速弾き合戦に通じるようなギザギザで尖ったフレーズ使いが時々しんどい。
音楽ありきではなく、器楽演奏技術ありきのような感じが時々する。
その点、ディジーは音楽的な窓が広く放たれている感じがする。パッションは全面に出しつつも、一方で引くとこは引いた構成力が優れていて、かつファンキー。
例えば“Salt Peanuts”なんてすっごくかっこよくてとても楽しい。



リズムとアンサンブル。
静と動、乱と沈、聖と俗、楽と苦、クールとホット。
そういう相反する要素を一緒くたに混ぜ合わせて表現してしまうブラックミュージックの伝統をより深めて次の世代へと引き渡したビ・バップのスピリット。
ビ・バップとロックンロールには直接的な血縁はないけれど、こういうスタンスやアティテュードは、ロックという音楽に脈々と受け継がれている気がする。



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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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