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Cab Calloway ロックのゆりかご(11)

キャブ・キャロウェイ (Cab Calloway, 1907年12月25日 - 1994年11月18日) は、ニューヨーク州ロチェスター生まれのジャズ・シンガー、バンドリーダー。
キャブはエネルギッシュなスキャット唱法の歌手として知られ、彼のビッグバンドは1930年代初頭から1940年代後半にかけて、アフリカ系アメリカ人のバンドとしてはアメリカ最大級の人気を博した。



今でこそ歌って踊れるシンガーはたくさんいるけれど、そのメジャー第一号は誰だ、っていうと、キャブ・キャロウェイさんなのではないかと。
ベッシー・スミスやビング・クロスビーなどバンドを従えて歌うシンガーはいたにせよ、大人数で器楽演奏主体だったジャズか、ギターかピアノの弾き語り中心だったブルースのどちらかだったブラック・ミュージックの世界に歌って踊れるエンターテイメントを持ち込んだ第一人者。

歌って踊れるといえば、同時代に黒人芸能的要素を映画に盛り込んだアル・ジョルソンともキャブ・キャロウェイは共演していたそうだ。
さかのぼれば、顔を黒塗りにして黒人っぽい芸で人気を博したエメット・ミラーのようにミンストレルショーや大道芸人で歌って踊れる芸人はたくさんいたのだろうけど、こういう黒人文化の伝統と一方でオペラやミュージカルなどから連なる芸能世界をジャズで融合させたのはキャロウェイの大きな功績なのだろう。



まぁ、芸人ですよね。
“Hi De Ho”など一発当てたネタを何度も使い回しながら、ショウアップされた安定の芸を見せてくれるエンターテイナー。
その一方で、確かな耳と腕を持ったディレクター/プロデューサーでもあったようで、キャブ・キャロウェイのバンドには、サックスのベン・ウェブスターにレオン・“チュー”・ベリー、トランペットにディジー・ガレスピー、ドク・チータムなどなど、後にビ・バップやモダン・ジャズを作っていくメンバーが顔を揃えていたのだそうだ。



キャブ・キャロウェイが発展させた歌って踊れるエンターテイメントとしてのジャズは、バンドのメンバーたちからはビ・バップが、スキャットを取り入れたジャズ・ヴォーカルとしてはエラ・フィッツジェラルドやダイナ・ワシントンらが生まれていった。
もちろん直系としてはジャンプ・ブルース/ジャイヴ・ミュージックのルイ・ジョーダンやロイ・ブラウンやワイノニー・ハリスを生み、チャック・ベリーのロックンロールへと連なっていったわけで。

僕たち世代だと当然キャブ・キャロウェイの名前を知ったのは、映画『ブルース・ブラザース』のひょうきんな爺さんとしてなんだろうけど、実はものすごい偉人だったのですね。
そうは見えない飄々とした佇まいやテキトーさもかっこいいよね。








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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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