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♪お子様ランチの思い出

うちはとりたてて裕福でも貧乏でもなかったけれど、父も母もそれなりにしっかりしたひとだったから子どもの無駄遣いにはとても厳しかった。そのせいか僕は小さな頃から「贅沢は敵・無駄遣いは悪」ということを刷り込まれていたようで、外食なんてものも基本的には「贅沢」の部類だったからたまに外で食べるときもそんなに高いものは注文しないように意識している・・・そんな子どもだったようだ。
5歳か6歳くらいの頃だったろうか?
その日は母と兄と3人でデパートへお出掛けをした。お昼ごはんはレストラン。
いつもならせいぜいオムライスとかカレーライスとかなのだけれど、その日は、ショウ・ウィンドウの中から僕の心を鷲づかみにしたものがあったのだ!
それは、かっこいいクラシック・カー型のプレートに盛り付けられ、プリン形に盛られたチキンライスの上にはカナダかどこかのとってもおしゃれでかっこいい国旗が翻っているお子様ランチだった。
「・・・!!」
食べ物そのものはたいしたものではない、とくにそれが食べたかったわけじゃない。
けど僕はそのランチプレートと国旗のミニチュアに心奪われていた。
ただ、そのお子様ランチはけっこうな値段だった(と記憶している)。少なくとも母親や兄貴が注文したものより高かった。
僕は躊躇した。とっても迷った。
ほんとうにこれがほしいのか?こんな高いものを注文してもいいのか?
そうやって悩んだ挙句母親にどれにするの、なんでも注文しなさいよとか促されて、僕は思い切って「これ!」って注文したんだ。思い返せば生まれてはじめての「これがほしい!」って意思表示だったような気がする。

しかし・・・運ばれてきたお子様ランチは・・・ショウケースにあったスポーツカー型のお皿ではなく、ふつうのよくあるお子様ランチのトレイに盛られた何の変哲もないお子様ランチ・・・。
さらに、刺さっていた旗も、カナダの国旗じゃなかったのだ。
僕は、泣きわめいた。
母親は何がどうしたのかわからずとても困りながら、泣きわめく僕の言葉の断片から僕が期待したものとは違うものが届いたことをなんとか理解し、レストランに苦情を言ってくれたのだけれど、返ってきた言葉は「あれは見本ですから。」みたいなそっけない言葉だった。
僕はずっと泣きわめいていた。
“つまらないことに騙されて無駄遣いをしてしまった”ことの後ろめたさと悔しさでいたたまれない気持ちでいっぱいだったのだ。


あのときのことは、今思い出しても悲しい気持ちがぐっとこみあげてきてしまうのだけれど、そんなトラウマのせいか、僕は自分の欲望というものにずいぶん慎重に育った気がする。
それは本当に自分にとって必要なものなのか?対価を払うだけの価値があるものなのか?
瞬間の欲望にそそのかされてあとでがっかりしたりするんじゃないのか?
そんなふうに、何か買い物をするときにはつい慎重になってしまうのだ。


そもそも、どうしてあのときのことを思い出したかといえば、コレだ。


メイン・ストリートのならず者(スーパー・デラックス・エディション)(初回限定盤)(2SHM-CD+2LP+DVD付)

¥18,000
メイン・ストリートのならず者(スーパー・デラックス・エディション)(初回限定盤)(2SHM-C.../ザ・ローリング・ストーンズ

カナさん やリュウさん のブログでも紹介されていた、ストーンズの『メインストリートのならず者』のボーナス・トラック付きリマスター版が発売されるのだ。
『ボーナス・トラックを10曲追加して、LPサイズのボックスに2SHM-CD + 2LP + 1DVD、
それに貴重な写真(約60枚)が満載の、トータル92ページにわたる本を同梱した、スーパー・デラックス・エディション!日本盤のみSHM-CD仕様、DVDには日本語字幕付。完全初回限定生産の超プレミアBOX!』で、お値段なんと18000円。。。

『メインストリート』は最高にカッコいい大愛聴盤。
ただ、音質がいまいちなのが玉に瑕で、そのモコモコと埋もれがちな音こそがストーンズがリアルに表現しようとしたブルースとロックンロールの原点なのだよなどと理屈をこねてみても、やはり音質は良いほうがいいし、まして未発表曲含む未発表バージョンが10曲。そりゃ、ほしくないわけがない。
けど、DVDはいらない。LPは少し魅力的ではあるけれど、なんだかコレクターアイテムっぽさを強調するためのレコード会社の戦略にまんまとひっかけられそうで鼻につく。
さて、どうしたものだろうか。


そんなとき、5歳の僕が僕に囁きかけるのだ。
それは本当に自分にとって必要なものなのか?
対価を払うだけの価値があるものなのか?
瞬間の欲望にそそのかされてあとでがっかりしたりするんじゃないのか?
そうだよな。
自分の欲望の質を見極めること。何もかもを手に入れようとしないこと。本当に必要なものだけを見極めること。
物質主義の世の中を自分を見失わずに渡っていくためにはそんなスピリットが大切だ、ということを僕らは学習してきたのではなかったのか!



・・・などと、とても大層な思い出話と大袈裟な理屈をつけて、なんとか「買い物かご」に入れるのを踏みとどまった今日の僕なのでありました。



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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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