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音の食卓〈おせち〉

一年間続けてきた「音の食卓」シリーズ、今回でラストです。
最終回は新年を寿ぐ「おせち料理」。

尾頭付きの海老、小判のように黄金色に輝く数の子や栗きんとん、日の出を象った紅白の蒲鉾、甘く柔らかく煮含められた黒豆はマメに暮らせますようにとのささやかな願い。
田畑が潤うようにとの思いが込められた田作り、先が見通せるようにとに願う蓮根、酢ごぼうは地中に深く根を張る用に、くわいは芽が出るように。
そんないろんな願いが込められた数々の品々は、それぞれに鮮やかでそれぞれに手が込んでいる。

色とりどりのお料理をぎゅっとお重に並べたおせち料理を見ていると、ブルースやソウルのオムニバス盤みたいだと思う。
素材の味を最大限活かしつつ、いい職人がいいダシでしっかり味付けしたおせち料理の贅沢さ。
もちろんお酒にもよく合う。



たっぷりとソウルやブルースを堪能できる完璧なオムニバス盤といえばこれです。


Rolling Stone Classics / V.A



ストーンズがカヴァーしてきたソウルやブルースの名曲たちの原曲を集めたこのアルバム。
ド真ん中の一の重にはマディー・ウォータースやハウリン・ウルフ、チャック・ベリー、ボ・ディドリーらを配し、古くはロバート・ジョンソンの“Love In Vain”やロバート・ウィルキンスの“Prodigal Son”から新しくはテンプテーションズの“Just My Imagination”まで。
コースターズの“Poison Ivy”やドリフターズの“Under The Boadwalk”といったメジャー・ヒットから、ボブ&アールの“Harlem Shuffle”といったマイナー曲まで、アルヴィン・ロビンソンの“Down Home Girl”といったディープなサザン・ソウルから、洒脱なボビー・トゥループの“Route66”まで、いろんなバリエーションの曲たちがお重を彩る。
とにもかくにも、あっちこっちに幅を拡げつつも、ストーンズという軸を中心にバシッと統一感があるのが素晴らしいです。



ストーンズたちが体現したいと願っていたブルースやR&Bのスピリットというものが、このコンピレーションを聴いていると浮かび上がってくるような気がします。
おせち料理に込められた数々の願いと、ブルースやR&Bに込められた思い。
ひとつひとつをかみしめながら、じっくり味わいたいと思います。



今年もまた一年、お付き合いいただきありがとうございました。
よいお正月をお迎えください。







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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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