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音の食卓〈クリームシチュー〉

子供の頃、母親の作るコーンたっぷりのクリームシチューが大好きだった。
ミルクたっぷり、ベーコンととうもろこしもたっぷり入っていて、じゃがいもがゴロゴロしてて、おかずになるくらいの満腹感があって。
兄弟たちがご機嫌でおかわりをねだるのは、母親にとってもすごく嬉しいことだっただろう。



肌寒い季節になってくると、あったかいスープやシチューが恋しくなります。
コーンたっぷりのスープや、じゃがいもや玉ねぎがゴロゴロ入ったクリームシチュー。

スープやシチューっていうのも、料理としてはかなり原始時代からあるメニューなんだろうな。
火を焚いて、お鍋でいろんな具材をグツグツ煮る。
いろんな具材からいろんなダシが染み出しておいしくなる。
家族や仲間たちと取り分けて食べるスープやシチューには、きっと食べ物から出る以外の旨みもプラスされていたはずだ。

じゃがいもの皮をむいて。
玉ねぎをザクザク切って。
ごろっとした鶏肉やベーコンをぶつ切りのままお鍋に放り込んで。

そんなお料理のBGMにぴったりの印象があるのが、ブッカー T & MG'ズのサウンドだ。


The Very Best of / Booker T & The MG's



てきぱきとスティディに事を運んでいくようなダック・ダンとアル・ジャクソンのリズム隊の上で、スティーヴ・クロッパーがトントンと包丁を捌く。ブッカー・T・ジョーンズのオルガンがこれをコトコト煮込む。

とりあえずの素材が旨みを出しあって、どんどんおいしくなっていくサウンド。
誰もが声高に主張せず、メンバーがそれぞれの音を聴きあう中から生まれてくるグルーヴとダシ感。
なんとなく、原始時代に焚き火を囲んで鍋を似たような感覚の音楽だと思う。
音を通じて交わされる気持ち。
食べることを通じて交わされる気持ち。



思えば、母の老化が急速にすすんだのは、誰かのための食事を作らなくなってからのような気がする。







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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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