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音の食卓〈オイルサーディンもしくはアンチョビ〉

突然涼しく過ごしやすくなった9月。
今年も猛暑酷暑が続くんだろうと覚悟していただけに、なんとなく肩透かしを食らったような。
残暑はまたぶり返すのかもしれないけど、夏を少し懐かしく思うような気分になったとき、決まって聴きたくなるのが南佳孝さんなのです。



南佳孝さんの音楽は、ひなびた海辺のリゾートで寛ぐようなリラックス感がありながら、妙にバタ臭さというか人間臭さがある。

おしゃれですごくかっこいいんだけど、そのかっこよさの裏側にべったりと染み付いた悲しみの影というかそういう類いの翳りがある。
その感じがなんとも、過ぎた夏を見送るのにちょうどいい。

舶来品のスタイリッシュさと、どこか垢抜けない臭みの感じ、おしゃれさと生活臭さ。
例えるならばオイルサーディン、もしくはアンチョビってところだろうか。

巻き上げ式のオープナーでふたをくるくると巻くと、しっかりと油に漬かったカタクチイワシが現れる。

たっぷりと染み込んだオリーブオイルの独特の香りと、カタクチイワシの少し苦味のある味わいは、一見とても相容れそうにないのにすごく自然に馴染んでいる。


Romantico / 南佳孝

なんか気取ってるんだけど、とても心地よい脱力感。
ビールもいいけど渋いワインやスモーキーなウイスキーがよく合う。
ばか騒ぎよりも静けさがよく合う。

力が入りすぎるのはよろしくないね。
豪勢なディナーよりも、オイルサーディンでちびちびやるのがいいね。



ちなみにオイルサーディンとアンチョビの違い。
オイルサーディンは調味したカタクチイワシをオイルに漬けたもの。
アンチョビはカタクチイワシを塩漬けにして熟成させてからオイルに漬けたもので、トッピングやソースに使ったり、小さく刻んで混ぜ込むなど、調味料のようにも使われます。




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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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