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音の食卓〈焼き茄子〉

僕はほとんど好き嫌いのない何でも食べる子供だったけど、一度もおいしいと思えず嫌々食べていたものもいくつかあって、そのひとつが茄子だ。
ぶにょっとした見た目からしてなんとも、、、食感がぐにゅっとして、味もしない。どこがおいしいんだか全然わからなかった。
茄子を好まない息子のために母はミンチをはさんで揚げたり炒めたりするのだけど、そうすると益々皮がぎっとりテカってグロくなったりするのです(>_<)。

茄子をおいしいと思うようになったのもやはりある程度の大人になってから。
特に好きなのは焼き茄子だ。
おろし生姜のピリッとした辛味や鼻に抜ける爽やかさに、醤油のコクをひとたらし。生姜や醤油の向こうにほんのりとした甘み。
茄子そのものはメインの食材というより、タレや薬味をおいしく味わうためのプレートのようなものなんですね。
茄子だけの味わいではなく、薬味やタレと合わさったハーモニーを楽しむ食べ物。
豆腐なんかもそういうところがあるけど、そういうことだったんだとわかってからこういうものが好きになった。



そんな焼き茄子に捧げる音楽は、原由子さん。



この人の存在感もまた、焼き茄子のように独特だと思う。

シンガーとしてもライターとしてもプレイヤーとしても、突出した凄さがあるわけではない。ステージに立ったときに華があるわけでもない。サザンオールスターズのメンバーでなければ、世に出ることもなかったかもしれない普通の人だ。
でも、その平凡で普通の味わいが、だんだんとじわじわくるのですね。



茄子そのものは平凡な魅力でも、絡み合うタレや薬味の強い存在感がすごい。
いやいや、実はそうではないのかも。
強い個性を持ったタレや薬味をすんなり受け止めてしっかりと馴染ませてしまうというのは実はとても難しいことで、それをすんなりやってしまう茄子という食材は、実は相当に懐が深い食べ物なのかも。

原由子さんも同じように、サザンオールスターズも、実は彼女無しには成り立たないのだろうと思わされる。そしてアーティスト原由子もサザン抜きでは成り立たない。

茄子、侮り難し。
そう思わせる不思議な魅力。
平凡を貫いた上での懐の深さ。

そんなことを思いながら、焼き茄子をいただく。
うむ、実に慈味。



Mother / 原由子









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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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