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音の食卓〈ざるそば〉


461Ocean Boulevard / Eric Clapton

僕にとってのエリック・クラプトンの魅力は、粋。
粋というものの定義は難しいけど、必死こいてギリギリまでは踏ん張らない余裕を残した感じや、それから「ま、いいよ。あるがまま。」という感じの割りきりや覚悟、本当はすんごく頑張ってるんだけどそれを見せないやせがまん的な感じ。
この時期のエリック・クラプトンには、そういう粋さを感じるのです。

ブルースブレイカーズ時代はブルースマンのギタープレイに憧れ、クリーム時代はジミ・ヘンドリックスに刺激を受けてサイケデリックなプレイを追及し、デラニー&ボニーやザ・バンドやデレック・オールマンに出会って南部っぽいいなたい音を目指し、、、何でもできて何にでもなれるからこそ自分の居場所を定めることができなかったクラプトンが、自分がやるべきことを見つけたのがこのアルバムの頃だった。



ずっと「何かが足りない」と追い求めてきたクラプトンが、このアルバム以降は「引き算」のプレイをするようになる。

できないことと、できるけど敢えてやらないことには大きな違いがあって、何でもかんでも追い求めるのではなく、あれも足りないこれも足りないと嘆くのではなく、自分に合うものを見定めて、敢えてやる・敢えてやらない。
そういう感じが、粋だと思うのです。

ある意味やせがまん。でも、敢えてやらない。敢えて全力ではなく、力を抜いてことに向き合う。
そっちのほうがかっこいいといつの頃からか思うようになった。



粋といえばざる蕎麦、ってのも我ながら短絡的だとは思うのだけど、蕎麦には引き算の美しさがあると思う。
コシよりのどごし。
旨みよりも香り。
トッピングは敢えてネギだけ。
その代わり、つゆも含めて、のどごしと香りにはとことんこだわる。

正直蕎麦はそんなに大好物ではないのだけど、たまーにおいしいざる蕎麦が食べたくなるのです。
メニューなんて見もせず、盛りを一枚注文して、ざるから蕎麦をひとつかみ、サササッとつゆにつけてずるずるっとすすってはそそくさと店を出る。
そういうの、なんとなくかっこいいよなぁ。ま、これをかっこつけてやるとダサいので、これが自然にできるのがかっこいいんだけど。

まだまだ粋にはほど遠い、いくつになったら大人になれるかなぁ、なんて思いながら、クラプトンを聴く。

夏はいよいよ盛りを迎える。









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コメント

[C3436]

非双子さん、こんばんは。
ほんと暑いですね。
熱中症にはじゅうぶんお気をつけください。

この時期のクラプトンはまったりして和みます。
  • 2021-08-06 23:05
  • goldenblue
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  • 編集

[C3435]

暑いですね~
我が家は、2週間前に頼んだエアコンのガス抜け修理に来た業者に、昨夜壊れた別のエアコンの入れ替えを依頼しました(涙
体温を超す気温だと、コロナに罹っても判らないかもしれません。

レーザーディスクは全て持ってたんですよ、ライブでの「Wonderful Tonight」演奏姿と音、まったりとしてて心地よいです。

  • 2021-08-06 21:41
  • 非双子
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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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