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音の食卓〈うなぎの蒲焼〉

7/19~8/6が今年の夏土用。
土用というのは、立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間にあたり、いわゆる季節の変わり目の時期のこと。
気候が不安定で体調を崩しやすいため、滋養のあるものを食すのがよいとされる。
そんなわけで夏の土用には「うなぎ」なんですね。
今や絶滅危惧種とさえ言われ1尾で2000円なんて普通になってしまってそうそう口に入る機会もないのだけれど、やっぱり土用の丑の日くらいは食べたいものです。

醤油とみりんのきいたタレに照り照りになった脂の食欲をそそる香り。
一切れ口に入れると、やわらかな身がふわっ。
その勢いでかきこむご飯の旨いこと!
口に入らないときは「あんなもんほとんどタレの味じゃね?」なんて悪態をつきつつも、やっぱり別格に旨いのだ。



照り照りの脂と香ばしい香り、ふんわりとした食感、滋養満点で一口食べればスタミナモリモリな音楽。

独特の泥臭さなんかも含めて、アート・ブレイキーさんなんかうなぎの蒲焼きっぽい感じではないかと。


A Night In Tunisia / Art Bleaky and The Jazz Messengers

脂っこいしコテコテだけど、我が物顔でガンガンにぶっちぎってる感じがする。汗の匂いがする。
四の五の言わず音で勝負するぜ、的な躍動感がある。
ドコドコ叩きまくるドラム、ブンブンうなるベース、パーカッションみたいにリズムをたたくピアノの上で、これでもかとブイブイ唸るサックス。
単純にエネルギッシュなだけでなく、独特のダークさがあったり、とても素直にわかりやすいベタベタな展開があったり、そんな表も裏もひっくるめて結局はドカンと行ってしまう感じにいつの間にか引き込まれてしまう。

でも、けっこう醤油味なんですよね。
香ばしくて、ふっくらやわらかで、野性味丸出しではなくどこか品がある。
こういうベタでディープなジャズも今や絶滅危惧種っぽくなってしまいました。



蒸し暑い日本の夏を乗り切るために滋養に満ちたうなぎを食べるように、パワフルでエネルギッシュで滋養に富んだ音楽でスタミナアップを。






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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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