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音の食卓〈お好み焼き〉

大阪人のソウルフード、お好み焼き。
やっぱり時々無性に食べたくなります。
小麦粉を卵で溶いて、ザクザクに切ったたっぷりのキャベツと天かすを入れてシェイク。小麦粉には鰹や鯖のだし粉が仕込んである。
熱々の鉄板に生地をとろ~りと流したらコテで形を整え、豚バラ肉をのせて、頃合いを見てコテでひっくり返す。
ふんわりと焼き上がったら、ソースとマヨネーズを塗って、最後にかつお節を降りかけると、熱気に揺られ、お好み焼きの上でかつお節がダンスを踊る。
コテを入れると、ふわっふわの生地。
キャベツの甘み、カリッと焦げた豚肉の香ばしさ、ソースは甘辛でフルーティー。
材料も調理法もシンプルなのに、実に深い味わいがするのだ。
キャベツも豚肉も小麦粉に仕込まれただし粉も、それぞれのおいしさをちゃんと発揮しながらも主張しすぎはせず、見事に調和しながら、このコンビネーションだからこそのグルーヴを生み出している。



調和とグルーヴ、しかもふわふわで甘辛で香ばしい、とくれば、フェイセズだ。


A Nod is As Goid As a Wink...to a Blind Horse / The Faces

スティーヴ・マリオットが抜けたスモール・フェイセズに、ジェフ・ベック・グループを抜けたロン・ウッドとロッド・スチュワートが合流して結成されたフェイセズ。ロッドは後にスーパースターになったし、ロニーはストーンズに、イアン・マクレガンもストーンズサポートに、ケニー・ジョーンズはキース・ムーン亡きあとのザ・フーに、と歴史を見ればスーパーグループなんだけど、その音楽からは、全然そーゆースーパーグループ的大御所感は感じられない。
むしろそのへんのやんちゃ坊主たちがご機嫌で楽しんでいるような親しみやすさがある。
メンバーそれぞれは、どこにでもあるキャベツと小麦粉と豚肉とソースとかつお節だ。
それが混ぜ合わされると、すごい旨みと香ばしさをもたらしてくれる。
ハイソサエティな高級感はまるでなくって、徹底してコッテコテの庶民。
ソウルフルでブルージー、どこかペーソスあふれるというか、滑稽でユーモラスですらある感じ。
何より、ジューシーでフルーティーでグルーヴィー。
フェイセズのそういう感じがとてもお好み焼きっぽいと思うのです。



「頃合いを見てひっくり返し」とは書いたものの、この頃合いがけっこう難しくて、下手にするとぐしゃっと潰れて台無しになってしまう。
かといって慎重にやればいいってもんでもなく、コテで端っこを少し持ち上げて焼け具合を確認したら、あとは度胸だ。
肩の力は抜いて、体全体で呼吸をつかんで、手首の回転でエイッと一気にやるのがコツ。
関西人はだいたい、この“お好み焼きひっくり返し”で度胸を習得するんじゃないかと(笑)。

この「頃合い」「呼吸」「度胸」あたりも、なんとなくフェイセズにつながる感じがするのですよね。









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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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