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感染症の世界史

冬至も過ぎて、2020年も押し詰まってきました。

withコロナの一年。

いろいろ大変なことだらけ、未経験のことだらけであたふたしているうちにあっという間に過ぎた感じ。
一年が濃すぎて、ちょっと前のことがめちゃくちゃ昔に感じたりする。

幸い病気ひとつせずに過ごせた。
というか、ひょっっとしたら53年間で一番健康だった一年かもしれない(笑)。
うがい・手洗い、大事ですねー。

そんな年の暮れに読んでいるのはこういう本。


感染症の世界史 / 石 弘之

ペスト、チフス、結核、エイズ、エボラ出血熱、デング熱、新型インフルエンザ、、、人類が地球上に広く分布するようになって以降、バクテリア(細菌)やウイルスもそれに伴って広がっていった。
バクテリアやウイルスがもたらす疫病は、過去幾度にも亘って人類に襲いかかっては、一時的に人口を極端に減らしてき続けてきた。
一方でウイルスは、生物が進化する手助けをすることもある。
「生物は、感染したウイルスの遺伝子を自らの遺伝子に取り込んで、突然変異を起こして、遺伝情報を多様にし、進化を促進してきた。人も含めて、どんな生物にもウイルスに由来する遺伝子が入り込んでいる。」のだそうだ。

そもそもバクテリアもウイルスも「意図」や「意思」はない。
襲いかかるも手助けするも比喩に過ぎず、自分たちが繁殖しやすい環境を求めて宿主を変えたり、環境に順応した変異を繰り返したりした結果、爆発的に繁殖したり遺伝子にまで影響を与えた例が幾度もあるということだ。
それが人類にとっては、凶悪な疫病になることもあれば、進化のきっかけになることもあって、その度に人類は対応を迫られてきたわけだ。
現存する生物は過去に繰り返されてきた感染症の大流行から生き残った「幸運な先祖」の子孫であり、バクテリアやウイルスも同じように環境に対応して生き延び続けてきた種。
ダーウィンの言った「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」という言葉通り、それぞれが終わりのない生存競争のための進化をずっと続けているということなのだろう。

時節柄、次年度の予算や計画を考える会議なんかが多いのだけど、そこで「コロナ騒ぎが収束したら」という前提で物を言う人がいる。
けど、こうして人類とウイルスとの歴史を俯瞰すると、騒ぎの収束はともかくコロナウイルスそのものがそう簡単には終息するものではないと改めて思うのだ。

著者は、「地球に住むかぎり、地震や感染症から完全に逃げるすべはない。地震は地球誕生から続く地殻変動であり、感染症は生命誕生からつづく生物進化の一環である。」「感染症は人類の歴史に大きく関わってきた。今後とも影響を与え続けるだろう」と綴っている。
ならば、この状況下で、やれることをやるしかないんだろう。
ダーウィンの言葉を借りれば、変化対応できる者だけが生き残ることができる。

とりあえずはやっぱりうがい、手洗いをきっちりして、しっかり栄養と睡眠をとって免疫力・抵抗力を高める。
まずはそうやって、ちゃんと生き延びることしかないんだよなぁ。

世界中がどうなろうと、正直知ったことではない。
でも、自分の身の回りだけは不幸が訪れないでほしい。
そんな身勝手なことを思いながら、そうあるためには結局、世界中が平穏でなきゃダメなんだろうな、ということに思い至るのですが。





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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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