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音のパレット〈銀色〉

銀色。
鈍く光るその光沢は、キラリというよりはギラリという質感がある。
みっちりと密度濃く詰まった隙のなさは、何もかもを跳ね返すような強靭さがある。
金色のような華やかさとは違った、見栄えよりも実利を重視するような硬派で質実剛健な雰囲気がある。
燻し銀という言葉があるように、熟練の手練れ職人のような存在感や、実質を背負っているからこその矜持。

こういうイメージにぴったりはまるバンドといえば、ザ・フーしかないだろう。


Who's Next / The Who

ザ・フーの音楽は、とにかく硬い。
歯が丈夫じゃなきゃ、咀嚼できない。
胃が丈夫じゃなきゃ、胃もたれする。
「太った豚よりも痩せたソクラテスになれ」とか「狼は生きろ、豚は死ね」っていう名言があったけど、そういう甘さや弛さ一切なしのタフでストイックな世界観がザ・フーの持ち味だ。



不安定に無機質な音を繰り返すシンセサイザーのイントロがしばらく続いた後、不安をぶちやぶるようにガツーンと一発、ピート・タウンゼントのギターがかき鳴らされる。煽るキース・ムーン、不敵なジョン・エントウィッスル。びびりながらそれをふりほどくようにシャウトするロジャー・ダルトリー。
鈍く光るその光沢は、キラリというよりはギラリという質感がある。
みっちりと密度濃く詰まった隙のなさは、何もかもを跳ね返すような強靭さがある。

ザ・フーの音楽を聴いていつも思うのは、4人それぞれの我の強さだ。
音楽はアンサンブルなので、普通は協調性がないと成り立たない。前に出て引っ張る人と後ろで支える人、それぞれがそれぞれの立場と役割をまっとうしてひとつの音世界ができあがる。
そのセオリーからするとザ・フーの4人は、それぞれが好き勝手に自己主張しているように聴こえる。
にもかかわらず、4人の我の強さが塊になったとき、よりその強度があがり不遜で無敵のパワーが満ちていく。
鋼が集まって銀色に輝きはじめるようなマジックがそこにはある。






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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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