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日記、或いは世界の真ん中・世界の端っこ

僕がこれから書くことはあくまでも偏見に満ちた個人的な印象であり、当該の人たちがすべてその印象どおりではないこと、当該の人たちを自分の印象どおりの型にはめようとするものではないことをあらかじめお断りさせていただきます。



コロナ禍の暮らしでいつもなんだかなぁ、と思うことがある。
それは「外出できない」「遠出ができない」ことが、当たり前のように「残念なこと」として取り扱われること。
僕は基本インドア派なので、実際のところ、そんなに残念ではない。
そのことを残念に思う人がいることはわかるし人それぞれだと思うけれど、みんながみんな残念がっているわけではないはずだ。

昔、好きじゃない上司が休み明けにいつも「昨日どっか行ったか?」と休日=外出を前提で話をふってくるのがすごく嫌だった。
「いや、どっこも行ってませんよー。」
「うそやん、ほんなら何してたん?」
「家でゴロゴロ。」
「なんや、しんどいんか。」
「いや、ゴロゴロが好きなんで。」
「そんなん退屈やろ?まだ若いのに。子供もどっか連れて行けとかいうやろ?」
「いやー、嫁も娘も家でだらだらするのが好きで。」
「そんなん、聞いたことないわ。」
みたいな会話を幾度かしたことがあったのだけど、基本この手の連中は「外出=陽もしくは善、非外出=陰もしくは悪」と捉えているようだ。
社会でもそれが多数派であると信じきっている。
けど、実際アンケートを取ってみると、どうも70%近くの人が自分を「インドア派」と思っているらしい。
ひとつのアンケートを恣意的に引用して根拠にするつもりはないけれど、インドア派を自称する人はアウトドア派が思っているよりは明らかに多いのは確かだ。
でも世間はアウトドアが善であることが前提になっている。
インドア派は、アウトドア派がアウトドア好きであることを否定しない。
でもアウトドア派はいつもインドア派を否定する。自身が絶対善であることを信じて疑わない。



こういう傾向はジャイアンツファンにも多い気がする。
彼らはジャイアンツが球界の盟主であり、ジャイアンツは勝つのが当然だと思っている。プロ野球界全体がジャイアンツのためにあると思っているフシがある。誰もがジャイアンツに一目を置いて当然だと思っている。
今シーズンのジャイアンツは確かに強かった。FA補強や外国人など金で買ってきた戦力ではない、若い選手たちがしのぎを削りチーム力を押し上げたのは確かだろう。フロントは的確な補強を行い、コーチ陣は才能ある若者を育成し、監督は(僕の好みではないけれど)シーズンを通して勝ち抜く采配にこだわった。
僕はタイガースファンだけど、そのことは大いに認める(タイガースがまったく真逆で、フロントは補強をはずし、コーチ陣はまるで指導も育成もできず、監督は一貫性のない独りよがりな采配を繰り返した結果勝てなかったことも認める、、まぁ、それは余談)。
タイガースファンは熱狂的に、半ば自虐的なまでにタイガースを応援するけれど、少なくとも他球団のファンも同じように好きなチームを応援していると知っているから、他チームのファンをけなすようなことは意外としない。12球団平等が前提の意識がある。優勝争いにはからんでほしいけど、毎年優勝しなければいけないとは考えてはいない。
ところが、ジャイアンツファンだけは、自分の贔屓が特権階級だと思っている。
ジャイアンツが毎年優勝しなければプロ野球が盛り上がらないと思っている。そんな時代は昭和の間に終わっているのに。
まぁ、日本シリーズではそういう思い上がりがとことん打ち砕かれることになるのだろう。
偉大なる大監督はまたDH制のせいにするんだろうか。



これらのことと同じ匂いがするのが、某超大国の現職大統領の支持者たちの振る舞いだ。
敗北を認めず、根拠のない陰謀論を主張するやり方はあまりにも幼稚に見える。
自分たちこそが主流派、多数派であると根拠もなく信じ混み、他党の支持者たちを罵倒し根拠もなくフェイクだと断言する。
自分たちとは違う考え方をする人たちがいることに向き合おうとしないで、頭から否定しようとする。事実と論理ではなく思い込みと感情だけで対応し、議論の呼びかけに対して非難と罵倒で応える。
これは、この国の保守政党支持者にも通じるところがある。
もちろん一部の極端な革新政党支持者にも同様のことはあってそれは同じ穴のむじななんだけど、発想の元や立ち位置は少し違う気がするのです。

アウトドア派、ジャイアンツファン、保守政党支持者・・・彼らに共通しているのは、自分たちがいつも世界の真ん中に存在していると考え、それ以外の世界があることへのイマジネーションがないことだ。
世界の端っこからの景色を想像しない。
世界は真ん中だけではじゅうぶんに機能しないことに思いを寄せない。
そのことを原発や基地の問題や、いじめや差別やハラスメントと結びつけてしまうと、いささか飛躍しすぎだろうけど。



11月ももう半ばになった。
未だに仕事場以外はどこへも行っていないけれど、そのことで困ったことは特にない。
千葉ロッテがすれすれでCS進出を果たし、プロ野球は異例のシーズンを終えようとしている。とりあえずはちゃんと開催できただけでもよかったとしておくべきなんだろう。
大山選手はホームラン王になれなかった。
藤川投手が引退し、能見投手や福留選手がチームを去ることになった。
大阪都構想住民投票やアメリカ大統領選挙では、良識を持った人がまだまだたくさんいることに少し安堵した。



僕は僕の世界の真ん中にいるけれど、僕の世界は世界の真ん中ではないことくらいは知っている。
世界の端っこから、世界の端っこを想像する。
そのことはずっと大切にしたいし、端っこならではの機微を楽しく味わえるようでいたいと思う、、、
なんてうそぶきながら、11月が深まっていくのを眺めている。











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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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