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いとしいたべもの


いとしいたべもの / 森下典子

表紙にあるメロンパンをはじめ、崎陽軒のシウマイ、舟和の芋ようかん、たねやの水羊羹、おはぎ、カステラ、焼き茄子、おこわ、カレー、オムライス、日清どん兵衛やサッポロ一番みそラーメン、くさや、ブルドックソースまで、食にまつわる思い出や雑感を連ねた軽い口当たりのエッセイ集。
ちょっと心の栄養痩せ細り気味のこの頃、おつまみを頬張るようにサクサク読んで、なんとなく気持ちが落ち着いた。

あーっ、そうそう、と思ったのは「端っこの恍惚」というお話。
鮭の皮や鮭のカマのおいしさが愛情いっぱいに語られる。
挙げ句、南米の地図を引っ張り出してきて、チリが鮭の皮に見えるだの、アンデス山脈の最先端のホーン岬あたりはゼリー状に脂がのっていて焼くとじゅうじゅう音を立てる、というあたり、その感性はただ者じゃないなっていうか、こういう人とは友達になれそうだなどと勝手に思ってしまいました。

シンプルでほのぼのしたイラストもご本人の作。
タッチが柔らかで色が明るいのがいい。
こういう気取りのなさっていいな。



特別なご馳走じゃなくっても、ふと思い出す何気ない記憶には、食べ物がセットになっている。
あのときあの人とあれを食べたな、○○さんはこれが大好きだったな、、、普段は忘れている小さな記憶が、味や食感といっしょに甦る。
母親の作るシチューとか、娘と作ったフレンチトーストとか、とある密会でのオムライスとか、配送していた頃に仕事が遅くなって昼飯食いそびれたときに職場のパートさんが握ってくれたおにぎりとか。
そして、ほんとうの幸せは、そういう何気ないものの中にこそあるんだろうな、なんてあらためて思ったのでした。







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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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