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音のパレット〈山吹色〉

子供の頃に愛用していたクーピーペンシルセットには、やまぶき色が入っていた。
僕はこれを「やまぶき・いろ」ではなく「やまぶ・きいろ」だと思い込んでいた。
黄色のバリエーションだと理解していたのだ。

山吹色は黄色の一種ではあるけれど、黄色のような強い主張はない。
オレンジっぽくもあるけれど、オレンジとは全然テイストが違う気がする。
明るいけれど穏やかで安定感があって、いてくれるとすごく安心する色だ。


Dance into The Light / Phil Collins

フィル・コリンズが作る音楽の安定感や親しみ易さは、ちょっと山吹色ではないだろうか、と思った。
黒や青の系統ではない、もっと表情豊かで朗らかなトーンの声質。
でも、赤や黄色の強いエネルギーはなく、落ち着いていてケレン味がなく、心をざわつかせない。
そして、心のバリアを軽々と越えて内側にすっと入ってくる親しみ易さや毒のなさ、そういう感じが山吹色。

このアルバムは96年リリースの6枚目のソロ・アルバムなんだそうで、ずいぶんあとになって中古店で拾ったので当時の記憶はないのだけれど、円熟の境地とも言えるくらいのポップでカラフルでソウルフルな楽曲がずらりと並んでいる。
大ヒットした“No Jacket Required”なんかと比べてもひけをとらない、コストパフォーマンスのいいアルバムだと思う。



ちなみに山吹色は、英語ではbright yellowとかgolden yellowと呼ぶらしいけど、どうもニュアンスが違う気がする。
明るい黄色だとか金色っぽい黄色、ではあまりにも情緒がない、というか、欧米人の名付けセンスってどうなんだとつい思ってしまうのだ。
やっぱりあの色は山吹色という呼び方がしっくりくる。

晩春の里山でひときわ明るい輝きを放つ山吹の花。
たくさん花を咲かせるわりに、実は硬くて食べられたものではないそうだ。
その飄々としてゴーイングマイウェイな感じも、あの色の雰囲気と近い気がする。









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Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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