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音のパレット〈朱色〉

秋はお祭りの季節。
近所の神社の祭りは今年は小規模で粛々と行われたらしい。
花笠を先導に神輿が町を練り歩き神社に奉納される光景は、とても風情のあるものだった。
色とりどりの花笠、キンキラに飾られた神輿、そして鳥居の朱色。

神社や鳥居が朱色に塗られているのは、そもそもは燃える炎や沈む太陽、血の色のイメージなんだそう。
そういう物への畏怖の念から転じて、魔除けの象徴として神社や鳥居に使われるようになったそうだ。
また、塗料に使われた水銀は防腐や防虫の効果があり、その効果に災厄を防ぐという願いを込めたということもあるらしい。

魔除けは同時に毒でもある。
強い力をもつ両刃の刃、敵に回すとひどい目にあう。
赤色にも同様の意味合いが込められることもあるけれど、赤色よりも朱色の方が圧倒的に呪術的な気がする。
良くも悪くも念がこもっているというか、大きなエネルギーが込められた色、どんなときにも気軽に使える色ではない。
実際、日常使う所有物で朱色のものは少なくとも僕はひとつも持っていない。
あるとすれば朱肉くらいだろうか。
あれも念を込めるための道具だな。

さて、そんな朱色のような、エネルギッシュかつ呪術的な魔力を持った音楽。
思いついたのはUAさん。

彼女の声は、女神的な神々しさであると同時に、魔女的な禍々しさをも湛えている。
変幻自在な人でいろんな印象のある歌い手だけど、最初の印象がすごくそういう感じだった。


Petit / UA

UAとは、スワヒリ語で「花」という意味。花のように可憐で、かつ生命力にあふれ、“気”がみなぎっている。
悲壮なほどに張り叫んだりすることもなく、汗まみれの暑苦しさもなく、生命力に満ちてエネルギッシュなのにとてもクールで余裕綽々で、そのゆとり感がどこか魔女っぽい。
歌唱力の高さはもちろんだけど、器楽的な歌の巧さというよりは、情で揺らぐ感じがいい。
その上、奇妙な異物感のある少しゴワゴワとした声質。
ブルース的な、いや、もっとワイルドにアフリカ的ですらある土着感、いや、むしろ中世的な粗野さ、野放図さすら感じる泥臭さ。
血の匂いのする声。
その独特な圧と存在感。



先にあるのは、例えようもない快楽なのか、それとも取って食われてしまう恐怖なのか。
そういう怖さと興奮も含めて、朱色の印象がするのです。
魔除けであると同時に毒でもある。
その超越したパワーには誰も抗えない。







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golden blue

Author:golden blue
“日々の糧と回心の契機”のタイトルは、好きな作家の一人である池澤夏樹氏が、自身と本との関わりを語った著書『海図と航海日誌』の一節より。
“日々の糧”とは、なければ飢えてしまう精神の食糧とでもいうべきもの。“回心”とは、善なる方向へ心を向ける、とでもいうような意味。
自分にとって“日々の糧”であり“回心の契機”となった音楽を中心に、日々の雑多な気持ちを綴っていきたいと思います。

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